「悪くなかった」ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅 葵須さんの映画レビュー(感想・評価)
悪くなかった
主人公的立ち位置のニュート・スキャマンダーとジェイコブ・コワルスキーはじめ、皆のキャラがとても立っていておもしろい。ニュートについては普通のイケメン俳優とは違って若干影りある変人的な部分がとてもよくでていて、面白い俳優だなと感じた。そんな彼は普遍的な主人公の正義、勇気、凡人的気質とは少し離れて見えて、人間とのかかわり合いを求めているというよりは、動物の調査保護活動をしているという所に意外性を感じたのとそのような性質の彼に主人公の立ち位置を歩かせることができている脚本を素晴らしいと思った。そういうところはジェイコブについても同じ。ノーマジという事と、ビジュアルがイケメンではない肥満中年男性というキャラクタにより、より視聴者的目線に立った凡人的気質を持ちながらも視聴者の理想像=主人公であってほしい像とは真逆であるために、彼はいってみれば主人公の友人的な立ち位置で物語をすすめる配役となっている。彼だけが唯一、主人公周辺の立ち位置の中では現時点では何者も持ち合わせていないが、その人間性によって活躍を見せ、最終的にニュートとのかかわり合いでニュートを感化し魔法使いの美人の心を射止め、パン屋を開店させることに成功している。二人ともに一般的な主人公像からずれた存在であり、そのような主人公を活躍してみせる面白い作品を作れた事は素晴らしい事だと思う。
他に印章に残った所としては、アリソンスドルは胸元が深く開いた衣装でとてもセクシーで、言葉遣いもセクシーではあったが、酒場に入ったときのドレスなんかは肌色の衣装で一瞬裸になったのかとドキッとさせられた。また、今作で多数登場する魔法動物の中で特にフランクが印象に残った。足洗邸の住人という漫画で出てきた鵺の妖怪のビジュアルにそっくりで、どこかに参考元となるものがあるのだろうと感じ、調べてみたいと思う。
動物保護というテーマの元、様々な個性ある魔法世界の動物の紹介による楽しさと、様々な立場の個性ある人物たちが絡み合う作品。見る価値はある。