「全てを忘れさせる大雨」ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅 akkie246さんの映画レビュー(感想・評価)
全てを忘れさせる大雨
ハリーポッターシリーズは、ホグワーツ内部及び、せいぜいイギリス魔法界のゴタゴタで収まっていた。獣たちが暴れまくるのも校舎や森の中、ハリーとヴォルデモートの闘いも人間界には知られない範囲。本作のファンタビでは、舞台がアメリカのニューヨークであるせいもあるのだろうけど、大人の魔法使いたち内部のゴタゴタが、マグル社会を巻き込んで大事件を発生させる。
時代背景は、現代ではなく、まだセキュリティシステムや携帯電話やコンピュータのない少し昔のアナログな時代。初期のエレベーターはある。車も走っている。しかしまだまだのどかな時代。ここに魔法界のとんでもない動物たちを詰め込んだ魔法のトランクを持って我らがニュートがイギリスから乗り込んでくる。
ダブル主人公とも言える。旅人ニュートと、たまたま隣に座った若い英国人の男。
トラブルに巻き込まれたノーマジの太っちょ、パン屋志望の米国人の白人男性。
さらに美人姉妹。心を読む料理の得意な美人魔法使い、おっちょこちょいだが真面目な姉の魔法使い。この四人を中心に、かなり怪しいコリンファレル、とんでもない闇を抱えた少年を加えた六人が、アメリカの魔法界司法省を混乱の極致に陥れる。
しかし、この物語がユニークなのは、マグルたちの記憶は、すぐに魔法界の都合のいいように書き換えられ、建物などの崩壊も比較的スムーズに修復されてゆくところだろう。
この魔法使いたちが健在ならば、人間と戦争をすることはないと思う。
ただし今後の展開の中で、人間と戦争をするかもしれない伏線は張られている。
ハリポタと同じで、魔法使いもメシを食い、睡眠もちゃんと取る必要はあるようだ。他人の能力を読み間違えたり、騙されたり、騙したり、大人のくせにドジな魔法使いたちが、ある意味新鮮だ。
ハリポタのヴォルデモートは、肉体を失っても魂として復活したりもしたけれど、本作でも、失った命は2度と取り戻せないものとして描かれている。
できればあと数度は見直したい作品。