劇場公開日 2016年11月23日

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「マグルの立場から、魔法使いへ」ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅 ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5マグルの立場から、魔法使いへ

2016年11月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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ハリー・ポッターのあの世界観、魔法界の遥か過去に遡り、そこで起きた奇想天外なエピソードがこの本作という訳ですね。マーベルやDC的に言えばハリポタユニバース?魔法使いユニバース?とでも云えば分り易いのかな。

ハリー・ポッターシリーズでは我々はハリーの目線で、マグルの立場で以て魔法界を覗かせてもらう側でしたよね。マグルに育てられたハリーにとっても未体験の世界だった訳で。しかし8作もホグワーツ魔法学校で学べば、もうイギリス魔法界を知り尽くしてしまったんですよ、我々としても。ということで今回は新主人公ニュート・スキャマンダーの視点を借りて、魔法使いの立場になってアメリカ魔法界を体感するという。謂わば我らスクイブに昇格したんです。今度は過去の魔法世界(しかもニューヨーク!)へ出発という。
この目線の移動が実に見事だなあ、と思ってて。ハリポタの「まだ知らない」からファンタビは「もう知っている」へ見事にシフトしてる。
だから大人達がバンバン当たり前の様に危険魔法を使いまくってるんですよ。ハリポタじゃあの希少価値の高い姿くらまし姿現しなんかも惜しげもなくポンポン使ってるし。今迄ってハリーロンハーマイオニーが一個一個魔法を習得して、それをせっせと使っていくスタイルで、まあそれはそれでワクワクしていたもんなんですが、「もう知っている」我らには意味をなさない手法なんですよね。
もう知っているファンタビでは本来の魔法使いバトルとはこういうものである!こんなにエキサイティングで、こんなに生き死にのデッドラインを潜る血生臭いものである!と、ハリポタ全8作では感じたことのなかった別の意味でのワクワク感があるんですよ。
それとハリポタシリーズだと未就学魔法使いに手練れのデスイーターがバッタバッタとあっさり負かされる、みたいな矛盾?捻じれ?も普通に生じてたでしょ。物語上仕方のないこととは云え、ンなわけあるかい!と。でもファンタビは全員大人なんでね、そこら辺が全て解消されてて。

あとね、個人的に強く感じたことがあって。今回、ハリポタみたいに原作ないのがね、何よりもイイんですよ(あるっちゃあるんでしょうけど)。自分みたいな原作ファンが映画観るとフラストレーションがもう溜まっちゃって溜まっちゃって。「ああっ!?何でそこ端折るんだよ?何であのキャラ出さないんだよ!」とかね、あるんですよ、色々。ファンタビってそれが全くないでしょ。真っ新な状態で楽しめるというか。ユニバースの中で一番フラット。

ハリポタシリーズ含めて、ファンタビが一番魔法界を楽しめましたね。

ロロ・トマシ