「期待はずれ」アロハ odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
期待はずれ
監督・脚本はマット・ディモンの私設動物園奮闘記「幸せへのキセキ」のキャメロン・クロウで「ラ・ラ・ランド」のエマ・ストーンが出ているし舞台は日本人にも大人気のハワイとくれば否が応でも期待が高まる。ところが安手の007もどきの陰謀を絡めた中年親父のロマンス劇だから拍子抜け、ブラッドリー・クーパーファンの方にはごめんなさい。
アフガン帰りの元軍人、一度死にかけたので恥も外聞もないのでしょう、未練たらたらで元カノのいるハワイへ帰郷、案の定、彼女の家庭を引っ掻き回す、それだけならまだしもエマストーンにまで手を出して二股のプレイボーイ気取り、それじゃ観客にそっぽを向かれると軍事衛星の破壊を絡める、なんでも核を隠して衛星に載せたというが軍は関与せず民間の宇宙産業の陰謀という007に出てくる悪役もどきの間抜けなプロット、個人では破壊に兵器は使えないので大量の音響データを送りつけて衛星を自爆させるが、ダウンするのは通信サーバー位でしょう、最高機密を普通の子供がビデオに撮れるというのも陳腐だし、一事が万事いい加減。
冷戦期に米ソが打ち上げた衛星の75%が軍自目的だったのは事実らしい、中国なら何をしでかすか分からない例えだけはリアルで怖いしイーロン・マスクやホリエモンがロマンだけで宇宙ビジネスに参戦しているとも信じにくい。その辺をもう少しシリアスに描けば勢いが出てよかったでしょう、話をハワイの土着文化、自然礼賛と中年くたびれ親父のロマンスに寄せるから興醒めでした。冒頭から坊やが民話をしつこく持ち出すから、これは伏線で火山噴火でも起きるかと思ったが話だけ、思わせぶりが過ぎましょう。
とはいっても、題名がアロハだし、そもそも恋愛専科のキャメロン・クロウ監督に陰謀ものやアクション・スペクタクルを期待する方が浅はかだったのかもしれませんね。