オーバー・フェンスのレビュー・感想・評価
全93件中、1~20件目を表示
函館3部作の3本目 山下敦弘監督らしさが佐藤泰志と融合する面白さ
「海炭市叙景」は熊切和嘉監督、「そこのみにて光輝く」は呉美保監督、そして「オーバー・フェンス」は山下敦弘監督と大阪芸大出身の映像作家が3人続く面白さとともに、それぞれの個性が佐藤泰志という夭折の作家が放つ個性と対話を重ねたかのような融合を見せており、実に興味深い。オダギリジョー、松田翔太、蒼井優という日本映画界きっての実力派が佐藤の故郷である北海道・函館で撮影に臨んだというのも意義深い。
ホームラン
かっこよかったー
どんより雲の日にもう一度観たい。
リアル
蒼井優という可能性
山下敦弘ワールド。
この表現は果たして褒め言葉たるのだろうか?自己の表現として、アートとして突き詰める人がいる。興行成績を追うことで何の色も残せなくなった人もいる。自分の好きな曲を自分のタイミングで選曲するDJと、その日のフロアを見渡して状況に沿って選曲を変えられるDJ。
職業こそ違えどだ。映画をエンタメとするならば、やはりその場のオーディエンス込みで作品だと思うのだ。映画はアートだ!と言うのなら、そらもう勝手にどうぞ。という話だ。
オーバー・フェンス。淡々と続く乾いたリアリティと、ふんわりファンタジー風味の空気感?まあそんな感じ。
それにしても蒼井優は凄い女優になったものだ。単なるメンヘラに見えて、彼女の演技からは一本スジの通った光を感じる。だから、恐くもあり、切なくもあり、愛しくもある。オダギリジョーは、いつものオダギリジョー(及第点という意味です)。
見どころも見応えも、9割5分を蒼井優が占めている作品です。
【普通に生きる/死んだように生きる/生きる】
人は知らず知らずのうちに、大切な人も傷つけてしまっているのだ。
仕事が好きだったわけじゃない。
普通に働き、普通に結婚し、子供が出来て、普通の人間だと思っていた。
だが、いつの間にか、人を思いやる気持ちを忘れ、身近な人をひどく傷つける。
現代社会に、こんな人は溢れているのではないのか。
函館三部作の最期、この「オーバー・フェンス」で感じられる肌感は、ざらついた感触だ。
自分の想いだけが口からついて出て、周りの人を傷つけてしまう......そう、土埃がまとわりついているのに、気が付かないまま、人と接触しているようなざらついた感じだ。
職業訓練校で年長の学生が、指導員に向かって言う「学校の外には、お前が考えているより色んな人間がいるんだ」とは、いつの間にか、他者を傷つけたり、理解しないことが当たり前のようになった社会への皮肉だ。
”普通に生きてきたと思っていた”白岩
”死んだように生きてきたと言う”聡
白岩は、聡とぶつかり合いながら、聡を理解しようとし、そして、別れた妻の想いも理解しようとしていたのだ。
元気や優しさを取り戻していた元妻。
妻からの決別。
白岩が聡に向かって言う。
「俺はぶっ壊す方だから、壊れているお前より酷いよな」
だが、ここから再び始まるのだ。
省みることを怠ったが、それなりに一所懸命生きてきたのだ。
普通は、失敗や挫折がないことではない。
失敗や挫折が普通であり、それを受け入れられる社会であって欲しい。
グランドの土埃にまみれながらダチョウは求愛のダンスを踊り、打球は土埃をつんざいて飛んでいく。
何にも面白いこと起きてないよ。
離婚して普通になれた。
分からない世界。
三部作
技術訓練校に通っても、その職に就ける人間は数限られている。普通は失業保険目的の者が多いように思う。
どことなく寂れた空気感漂う函館の町。それでも明るくしてくれているのは訓練校のソフトボールの時間と聡(蒼井)の鳥ダンスだ。代島(松田)とも一度だけ寝たことのある聡だったが、白岩(オダギリ)と急接近。自然な流れで関係を結んでしまう。しかし、その後に互いの過去を語り、大喧嘩。気性が激しく、潔癖症的な振る舞い、そして鳥の真似をする風変わりな女だったが、見ている者でも惹かれていく。
オーバーフェンスというタイトルは、最後のソフトボールでのホームランのことなのか、それとも、息苦しい現実から逃げ出したい気持ちを表しているのか、あまりにも現実的な内容なので、映画の中に引きずり込まれそうな印象だ。
メンヘラ女のシーンはもはやホラー感ある
タイトルはラストシーン
こう言う役柄演じれば蒼井優さんの右に出るもの無し!
序盤から、
何か起こる
何か起こる
と思いつつ、何も起こらない。
職業訓練校と言う場所から年齢も背景も違う人達が織りなす人間模様。
深いなぁ〜
自分の周りには存在しない。。。
普通に生きる事の難しさ。
難しく生きてしまったが故に、大事なモノを失ってしまった人間たち。
不器用と一言で片付けるか。
真面目すぎると美化するか。
どーにもならなくなったその時、人は壊れるしか無いのだろうか。
現代社会の生きる難しさ。
決して大多数では無いが、色々な形でくじけた人間はいるだろう。
合コンする
嫁の地元に戻った
孫がいる
母親のもとで暮らす
一緒に起業しないか
人間はどんな形であれ一人で生きてはいけないのだ。
と、この映画はそれを伝えたかったのだろう。
そう私は受け取った。
微妙に凄いぞ、この世界観
山下敦弘監督の傑作
蒼井優
全93件中、1~20件目を表示