「喜びと絶望。」オーバー・フェンス ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
喜びと絶望。
クリックして本文を読む
佐藤泰志の三部作最終章は、前二作と比べてほんわかしている。
冠文句に「絶望」の文字が必ず刻まれている暗い重い切ないを
体現させる内容には違いなくても今回の恋愛は主演二人の得意
な演技が映えてとても観やすい。漫然と暮らす男に情緒不安定
な女が絡んで日々の生活を喜びと絶望の境地へ導く。誰しもが
抱える過去を大仰に見せびらかす訳でもなく、なぜそうなった
のか詳しい説明もなく、だって人間は表面から見せて近づいて、
奥底まで見せないうち相手と通じ合い、ぶつかり合ってやっと
本性を見せ始めるものなんだからと言っているよう。面倒だか
ら関わらない人生を選ぶか、面倒でも喜怒哀楽に満ちた人生を
選ぶか。ラストの清々しさが心地よく単純な場面で彼らを結ぶ。
コメントする