「樹海は、たそがれの領域」追憶の森 りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
樹海は、たそがれの領域
ガス・ヴァン・サント監督最新作は、『永遠の僕たち』にも登場した「日本的なるもの」はこの作品ではかなり前面に押し出されていました。
富士の樹海に死に場所を求めて米国からやってきたアーサー・ブレナン(マシュー・マコノヒー)。
米国で彼は、妻ジョーン(ナオミ・ワッツ)とふたり暮らしていたが、夫婦間に溝が大きくなっていた・・・
樹海の奥へ進むうちアーサーは、ボロボロに衰弱したタクミ(渡辺謙)と名乗る男性と出遭う。
誤って樹海に迷い込んだタクミは2日間も彷徨っているという。
タクミのために、いっしょになって樹海の出口を探すアーサーは・・・というハナシ。
まぁ、勘が良ければピンとくるはず。
チラシをもらったときから、「ははん、渡辺謙は幽霊なのね」と気づきました。
幽霊に導かれて、人生をやり直そうとする男のハナシ・・・と思いました。
当たらずとも遠からじ。
タクミが何のために現われて、誰の霊なのかがミソ(ここは書かない)。
マシュー・マコノヒーと渡辺謙の二人芝居は少々クサくて、ともすれば辟易するのだけれど、米国での夫婦の描写はリアリティがあっていい。
特に、ナオミ・ワッツが上手く、彼女がいないと多分この映画うまくいっていないんじゃないかしらん。
ちょっとした台詞や道具立ても効いた脚本だけれど、少々長いなぁ。
ロッド・サーリングがホストを務めたかのテレビシリーズの一編だとしてもおかしくないハナシなので、もう少しコンパクトにまとめてほしかったところ。
<追記>
原題は「THE SEA OF TREES」ですが、主人公がウェブで探す際に用いる「A PERFECT PLACE」のほうがしっくりきますね。