「美しきSFホラー」エクス・マキナ Zukkoさんの映画レビュー(感想・評価)
美しきSFホラー
美しいのに怖い。怖いからこそ美しい。
美しさが怖さを強調し、全体を通して緊張感が高められている。
男性の視聴者は女性性の怖さを述べている人が多いが、それはこの社会に於いて男性が女性性を抑圧してきた長い歴史の罪のようなものを、本能的に分かっているからだろう。
この作品の怖さは,もちろんネイサンが開発するAIロボットの全てが魅力的な女性であり、彼がそれらを従属的に扱っていることからも、上記の男性達が感じたような怖さも表現されているのだが
本当の怖さは
AIと人間が感情的に非常に密な関係を持った場合
人は、人の精神状態は狂気を帯びてくる
ということだと思う。
ケイレブが次第に常軌を逸していき、
遂に自傷的行為に至ったり
AIロボットに(たとえ全てが自分好みに作り上げられたものだとしても)必要以上に感情移入していく様は
自分でもきっとそうなってしまうだろうと感じられて
これからの未来、AIの時代が空恐ろしく感じられる、、、
そして、エヴァの脳が検索エンジンから集めたビッグデータに依るものだということも
現実的な怖さを強調しています。
現在、日本でもムーンショット計画と称して
AI化、アバター化が進められようとしています。
このストーリーは、あながちフィクションだとは言えないですね。
『エクス・マキナ』とはラテン語で『機械仕掛けの』という意味。
登場人物の名前はいずれも旧約聖書から取られています。(エヴァ=イブなど)
時間を経てからもう一度観たいと思わせる作品。
その時は既にAIが人間の代わりに様々な事を決めるようになっているかもしれません。
この映画を観たあとも、あなたは重要な判断をAIに委ねますか?