「人とロボット、感情の行方。」エクス・マキナ Bluebeatbluesさんの映画レビュー(感想・評価)
人とロボット、感情の行方。
カズオ・イシグロ原作の映画「わたしを離さないで」で脚本を担当したアレックス・ガーランドが脚本そして初監督をつとめ、主演のケイレブを演じるドーナル・グリーソンもまた「わたしを離さないで」に出演した俳優という組み合わせで制作された、フィリップ・K・ディック「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」、スタニスワフ・レム「ソラリスの陽のもとに」、と名作SFのエッセンスを随所に感じるようなイギリスのSF映画でした。
舞台がほぼラボ(研究所)の中のみというコンパクトな設計で、壮大なSF映画というよりはヒューマン・ドラマとして描かれている。あえて閉鎖的な空間劇としたのは効果的だったと思う反面、人工知能の開発による人間との境界がどうなるのかを描ききらずに終わった感がある。我々人間は神の領域を侵しているかもしれない、という大きなテーマにもう少し踏み込めたら良かった。
そういう意味で、次回作を示唆、期待させるような終わり方であったとも言える。
「リリーのすべて」で素晴らしい演技をみせたアリシア・ビカンダーが、人工知能(AI)を搭載したロボットを美しく怪演しており、とても印象に残った。
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