「理由のない尾行とは、互いの人生、情熱、意思を知ること」二重生活 shimoさんの映画レビュー(感想・評価)
理由のない尾行とは、互いの人生、情熱、意思を知ること
クリックして本文を読む
映画「二重生活」(岸善幸監督)から。
「何カ月か前から,街なかで見知らぬ他人の後をつけるのが
習慣になった。後をつけるのが面白いからで、
相手に興味を持ったからではない」の一文で始まるこの作品、
作品全体が、哲学科の大学院生の論文らしい展開だった。
スタートは、リリー・フランキーさん演ずる教授の発する、
「100人にアンケートをとるというのは、
社会学や心理学の研究方法ですね」というアドバイス。
多くの人の意見をまとめるだけでは、哲学科の論文ではない。
この助言になるほどな、と頷きながら、では?と感じたところ、
「理由のない尾行」を提案され、主人公の奇怪な行動が始まる。
作品中、ハラハラドキドキしながらも、この「尾行」を、
彼女がどう論文に纏めるか、気になって仕方がなかった。
ラストで、完成した論文が一部紹介され、こう定義している。
「理由のない尾行とは、他人の場所と立場に身をおくこと、
自分を他人に置き換えること。
すなわち、互いの人生、情熱、意思を知ること。
それは人間が人間にとって、かけがえのない存在となる、
おそらく唯一の道ではないだろうか。哲学専攻 白石珠」
実は、私の興味関心はまだ続く。
この論文を仕上げた彼女の行動の変化が気になっている。
今頃、どんな生活をしているんだろうなぁ。
P.S.論文の題目は「現代日本における実存とは何か」
コメントする