ブリッジ・オブ・スパイのレビュー・感想・評価
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アメリカがなぜ世界中で嫌われるのか。
一番最初に「事実に基づく物語」だと日本語で字幕が出ますが、その上に英語で「実際に起きた事件からヒントを得て作った作品」と記されています。 全然意味が違うじゃないか。 日本の映画屋って、とにかく、あざとい。 あざとすぎる。 あざとい結果として、まじめな映画ファンが背を向けていくことに気がつかないのでしょうかねぇ。 さて、あくまでスピルバーグが現実の枠組みだけを使って想像の翼を拡げた作品であるならば、これは実に良くできた作品です。 すなわち、人間を非人間的にしてしまうシステムに対する異議申立なのです。 なにも、共産主義や全体主義だけに罪があるわけではありません。 米国というシステムそのものにも同じ罪がある。そのことに、米国人は気がつかないのではないか。 そこへの異議申立なのです。 なぜ世界の多くの人たちが米国を嫌うのか。 日本人なら「米国という国が持つ体臭」と言えば理解できると思うのですが、米国人の多くは、自分の国に体臭があることに気がつかない。 そんななか、スピルバーグが、自分たちの体臭に気がつき、「体臭の発見」を映画にした、そういう作品だと思います。 このことを浮き彫りにするために、敵(ソ連のスパイ)を、きわめて魅力的な人間に描いています。 実際のスパイがどうだったのかは知るよしもありませんが、スピルバーグが造形したこの人物は、ほんとうに魅力的です。 どのような政治体制のもとでも、人間の魅力というのは変わらない。 人間は人間なのだ、ということでしょう。 この造形を見るだけでも、一見の価値があると思います。
スタッフ全員、会心の一作
この映画の脚本は、傑作にしては珍しいストーリー構成を持っている。 それは主人公の内面葛藤ドラマがあまりないという点にある。普通、映画脚本と言うものは主人公が抱えている心の中の問題を主人公がどう乗り越えるかというところに話の芯を持ってくる。そうしないと話が持たないのが普通である。しかしこの映画は違っていた。主人公は自分自身の中に心の問題など何も抱えていない。ただひたすら与えられたミッション、やるべきことに対する信念、自分の職業的立場としての責任を遂行するために猛進する。このようなシナリオ構成にすると実は脚本を書くのがとても難しいのだ。だがこの脚本家と監督とカメラマンと俳優と音楽家と全てのスタッツは見事にやってのけた。 ストーリーを分析してみると話がに二つに分かれている。最初の1時間ぐらいのところでパート1が終わってしまう。この後どうするのかと思って見てるとパート2として違うミッションが出てきて主人公はそれに向かって突き進む。そしてその行動の中にミッションの必要最小限を超える挑戦的な部分がある。それが人間性が高い行動であり思わず応援したくなる・・・そのような構成になっていた。崇高な挑戦に人は見せられるのだということを今回の映画で学んだような気がする。マッド・シャルマンと言うオリジナル脚本を書いた脚本家に拍手を送りたい。 そして、トム・ハンクスが見事に役にに嵌っていた。トム・ハンクスにも配役担当者にも拍手を送りたい。脚本が良いとは書いたが、なぜ主人公がその人間までも救い出さなければいけないのかという動機付けが脚本ではしっかり書かれていない。単に説明しただけの形をとっている。それでも主人公がその人物を助けようと頑張るのが、見てる側に響いてくるのはひとえに主人公のキャラ作りが成功しているからである。おそらく後半部分の脚本だけ読んだら面白くないんじゃないかと思う。見てるものは主人公の無茶行動に共感できなくて。その弱点をカバーするために後から前半の部分を書き足して主人公のキャラを売り込むというシナリオ的戦略を断ったのではないだろうか?それを指示したはたぶんスピルバーグだろう。きっとそうに違いない。いや絶対そうだということにしておこう。スピルバーグすげえ。 クライマックスがまた、シャレている。クライマックスというものは普通ドンパチがあるのがクライマックスだ。だがこの映画はとても静かなクライマックスだった。 静かで緊張感があり、そして感動があった。その辺のカメラワークの扱いや音楽の入れ方がとても品が良くて見事だったと思う。特に彼がこちらを見たときの悲しそうな雰囲気、それがロングショットで捕らえられてたところが・・・ カメラと言えばこの映画は写真がすごくいい。カラーの良さと言い、構図の上手さと独創せいさえも感じられ、うっとりとするものがあった。 ヤヌス・カミンスキーというカメラマンはどうもスピルバーグのお気に入りらしい。高得点映画をたくさん撮っている。だいぶ、お年だがこれからもがんばってほしいものだ。そしてこれからもずっとフィルムカメラにこだわっていただきたい。
役に立つか?
監督スピルバーグで主演にトムハンクス、脚本にコーエン兄弟という、盤石の体制な今作。そりゃ面白かった。 ドノバンの助けのない敵地での交渉、そして下手したら世界に危機が及ぶという緊迫感が、作品にスリルをもたらしていてドキドキしながら見た。 アベルの不安かどうか聞かれたとき「役に立つか?(Would it help?)」と答えるセリフが印象的だった。自分じゃどうしようもならんことを考えて何になるんだと、泰然と構える姿勢が良かった。こうありたい笑 jfkなんかでもそうなんだが、主人公がどうして、何に突き動かされて行動をするのか?信念の硬さと、不屈のキャラなのは魅力的だけど、リスクが高すぎるからなぁと思う。 なので、それを裏付けるエピソードが少しあると良いなぁと思った。ただ、そうするとストーリーの邪魔になっちゃうのかな🤔?
映画では語りきれない人生
この件だけでなく、その後も何千人もの人質交換をしたということで、そっちも見てみたかったと思ったし、そんな弁護士の人となりもしっかり見たいしで、映画では語りきれない人生だな、と思った。 続編もないだろうし、やはり人生って、まとめられないほど濃くなりうる。
【東西冷戦下、”誰にでも弁護される価値がある・・全ての人が大切”という基本的人権の保護を信じ、ソ連スパイの弁護を命懸けで引き受けた男の実話】
ー スティーブン・スピルバーグのネットワークは凄い。ー ・彼がトム・ハンクスを主演に据えた2作 「プライベート・ライアン」 「ターミナル」 はいずれも、実話もしくは実在の人物のエピソードが制作のヒントになっている。 ・今作は、その流れに沿った3作目である。脚本はイーサン・コーエン。 ・この時点で、期待度Maxで劇場に足を運んだ。 ・1957年、ニューヨークで”ルドルフ・アベル”(マーク・ライランス:絶妙の抑制した演技)という男がソ連のスパイとしてFBIに逮捕される。 彼の国選弁護人を引き受けたのが”ジェームズ・ドノヴァン”(トム・ハンクス)。 理由は正義の原則と基本的人権の保護のため。彼の時代にソ連のスパイの弁護を引き受ける事の重大さは、誰でも分かる。 悩みながらもルドルフの弁護を引き受ける姿を見て、一気に”ジェームズ”に肩入れする。 ・物語では、”ルドルフ・アベル”と”ジェームズ”の間に信頼と尊敬する念が芽生える様が描かれる。 ・その数年後、今度はアメリカのパイロットがソ連の領空で撃墜・拘束される。 ・CIAは二人の交換を画策し・・。 <息詰まるベルリン西部のグリーニッケ橋での人質交換のシーンは未だに忘れ難い。 実話を基にした名品である。> <2016年1月8日 劇場にて鑑賞>
そうでありたい
弁護する相手は当時冷戦時代のロシアのスパイ。アメリカとの取引にも応じず、自分の職務をまっとうする相手。主人公も相手がロシア人であろうと、スパイであろうとアメリカで裁判を行うのだから規則は規則、アメリカの憲法に基づいた裁判を行う信念を通す主人公。そういう二人の間にお互い通じ合いものが出てくる、アベルがジムのことを「standing man」と表現するところが良い。
緊迫した内容なのにアベルとジムを演じる二人が飄々としているところがこの映画を単なる緊張した内容にしていない。「不安に思わないか?」「それが役に立つか?」3回繰り返されるこの会話。ユーモラスに聞こえるけど、実際スパイをやってられる人の素質って不安に思わない強靭な精神がないと正気をたもっていられないのかもしれない。
この映画を、きれいごとという人もいるかもしれないけど、そういうことをストレートに表現する映画があって良いと思う。ベルリンの壁を乗り越えようとして射殺される人を見て主人公が怒りを表す。そういう感性をいつまでも失わないようにしたい。
うーん、面白いけれどちょっと地味かな。アクション的ドキドキがない。...
うーん、面白いけれどちょっと地味かな。アクション的ドキドキがない。コート盗られるぐらい(笑) スピルバーグにトム・ハンクスおまけにコーエン兄弟ってんで評価は高いが、私的には普通かな。 冷戦時代の米ソの緊張感、互いのスパイ合戦、歴史の勉強になります。
とても良質な作品でした。
脚本・演出・演技、すべてにおいてとても良質な作品でした。 弁護士と敵国スパイとの人としてのリスペクト、スパイ裁判での弁護士の信念、米ソ冷戦時代のそれぞれの国の思惑の中でのスパイ交換交渉の駆け引きなど見所が多かったです。
鉄板
見逃していたことが悔やまれる傑作です。さすがスピルバーグとしか言いようがありません。ラストの車窓から見るフェンスを飛び越える子供たちのショットの挿入が秀逸です。歴史を残す偉業、映画の使命とは何か、手本のような作品です。
ドノヴァンの交渉術!
スパイの弁護を引き受けるなんてと世間から冷たい目で見られ、アメリカ国内ではアベルの次に憎まれるという災難。そして、数年後に両国における捕らえられたスパイを交換するための交渉役として選ばれたのだ。あくまでも政府の人間じゃなく、民間人として・・・
折しもドイツベルリンでは東西の壁が作られていたが、運悪くアメリカの学生が東ベルリンにいたためスパイの容疑で拘留されてしまう。ドノヴァンはパイロットのパワーズと学生のプライアーの二人を天秤に乗せて、アベルと捕虜交換しようと考えた。プライアーは完全に無実であるから後回しにしろという周りの声にも耳をかさず、堂々と2対1の交渉を開始する。それも相手はソ連、東ドイツの2国なのだ。
重い雰囲気の映画ではあるが、どこか飄々とした性格のドノヴァンのおかげで、かなり楽しめました。真実の話ということで、エンディングにはドノヴァンの功績もテロップに流れ、凄い人物だったのだと驚きも・・・ブリッジの意味は単なる交換場所である橋じゃなく、交渉役の意味もあるのかとずっと考えてしまいました。
さすがトムハンクス
面白がったです。 トムハンクス演じる敏腕弁護士ドノヴァンとソ連スパイアベルとの友情が素敵でした。 ラストもよかった。 パパカッコいー! って感じでした。 笑えるところもたくさんあって、とても楽しめました。
これが実話なんて凄すぎる
米国にいたソ連のスパイと、東ドイツに墜落した米国空軍の人と、ドイツに留学していた学生とを交換するために交渉。
実話を元に。
私には難しい内容だったけれど…
彼のような交渉人がいれば安心だな。
心配させないため、家族にも言わずに。
立派で素敵人だな。
ジェームズ・ドノヴァンの情ある交渉術
・ソ連のスパイの老人アベルを弁護することになるアメリカ人のジム・ドノヴァン(トム・ハンクス)。東ドイツで捕まった学生のプライマー、偵察機でソ連に墜落した米兵のパワーズらと2対1の捕虜交換を命じられる ・1ドルコインには毒針を仕掛けたり、小文字で暗号を隠したり便利なスパイ道具 ・冒頭の鏡を見ながら自画像を描くアベルのくせ者感 ・アベルの家族のあからさまな偽物感やドイツの青年に対してのジムの嫌みなどオフビートな笑いもあった ・ラストの雪降る橋の上での交換シーンの緊迫感、アベルを見送るジムの顔が印象的
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