ブリッジ・オブ・スパイのレビュー・感想・評価
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時代の不安と緊張が伝わってくる
勘違いする人がいたら困るので書きますが、本作は007やミッションインポッシブルのようなアクション満載のスパイ映画ではありません。伝記映画です。といっても難しい映画ではなく、アメリカとソ連が対立し、ドイツが東西に2分されたという冷戦時代の基本知識さえわかっていれば問題ありません。 物語のわかりやすさは、信念が一貫している主人公と、冷戦時代の不安感を表した重厚な映像と演出によっても支えられており、さすがスピルバーグです。
さすがスピルバーグ監督素晴らしい!
実話に基づく話しであるだけに心が痛い。とくに大げさに演出してるわけでもなく大きな山や谷があるわけもなく淡々と物語は進んでいくがあっという間の140分間だった。 140分という長編だが見応えがありずっしりと重量感がありシリアスであり緊迫感がありと素晴らしい。ラストで題名には2つの意味があるともわかる。物語は淡々と進むためラストはあっさりするかと思えばしっかり心を掴んでくれた。主人公ドノヴァンの人の良さは素晴らしい。途中のシーンとラストのシーンで電車の中があるが途中とラストでは人の見る目が一切違うという演出もよかった。思えば、スピルバーグ監督×トムハンクスなので面白くないわけがない。この作品は実話である上、冷戦の話という重そうな話と思いがちだが是非見るべき作品であると思う。
安定のトム・ハンクス映画。
トム・ハンクスにハズレ無し!ま、最初から最後までひたすらトム・ハンクスなので、他のキャラクターがあまり立ってないのはご愛敬かね〜。 冷戦時代の何とも言えない重苦しい雰囲気も実によく表現されてて魅せる。良い意味でスピルバーグらしさがあまり感じられないのはやはり脚本のコーエン兄弟の世界観が影響してるんだろうか。社会派ドラマでもあるんだけど、予想以上にサスペンス感があって2時間半近い長尺も最後まで見応え十分。飽きないよ。 しかし国家の後ろ盾が無いまま、未開の地・東ベルリンで断ることも出来たはずのスパイの交換交渉を1人でやり遂げるって一体どんな精神力なんだ…。こんな人本当にいたのかよ、ってぐらい。全体的にセリフやトーンも含めて人間社会の「闇」の描写が非常に上手いよなー。互いに手の内を探りながらの奥歯にものが詰まったような交渉シーンは見ていてホントに面白い。やっぱりメンツや建前で成り立ってんだよね、国って。 前半はアメリカでソ連のスパイを裁くと言う法廷モノ、後半は米ソが囚えたスパイ同士を交換すると言うサスペンスモノ。ラスト、家族がTVニュースでドノヴァンが何をしに数日ヨーロッパまで出張していたのか知るシーンが最高にカッコいい。その時の奥さんの何とも言えない表情が唸らせる。素晴らしい…。
内野ゴロ
飛行機内にて鑑賞しました。観賞後にまず感じたことは、無駄の無い展開であったということ。一人の人間が抱えるにはあまりにも責任が大きい役割を半ば押しつけられながらも、あきらめることなくやり抜いた主人公がとても印象的でした。 ただし、冷戦時代の米露だけでなく独も関わってきており、歴史の知識が浅い私には話がなかなか複雑でした。 それでも、一人の人間が成し遂げた偉業を知ることができただけでも有意義な鑑賞時間を過ごすことができたと思いました。
まだ紳士的だった冷戦。スピルバーグ版『大いなる幻影』
米ソ冷戦下での米国の交渉術・処世術をいまごろ見せられてもちょっと困るなぁと思いつつ鑑賞したスピルバーグ監督の新作『ブリッジ・オブ・スパイ』。観終わっての感想は、これはスピルバーグ版『大いなる幻影』ではありますまいか。ジャン・ルノワールのあの映画では、第一次大戦では敵同士であってもまだ紳士的だったといっていた。この映画でも、その雰囲気が漂ってきていました。
映画は二部構成。
第一部は、ソ連のスパイ容疑で逮捕されたルドルフ・アベルをトム・ハンクス扮演のジェームズ・ドノバンが、米国憲法の人権擁護の理念に沿って弁護するというもの。
第二部は、ソ連偵察中に囚われた米国軍パイロットと、ベルリン封鎖の際に東ドイツに拘束された米国人学生をあわせて、ルドルフ・アベルと交換するという、とてつもない交渉を東ベルリンでドノバンが行うというもの。
スピルバーグの演出は、少々もったりしているともいえるほど、重厚に構えていて、それでいてスリリング。
コーエン兄弟が一枚かんだ脚本のシニカルな笑い息抜きにして進めるだけの余裕も感じます。
素晴らしいのは冒頭。
アベルのスパイ活動と、保険の交渉をおこなっているドノバンとをカットバックでみせるあたり、語り口が上手く、ここで映画への期待感が増します。
トム・ハンクスも上手いが、無口で、風采の上がらない、冴えない初老男にしかみえないアベル役のマーク・ライランスが、すこぶる良い。そして、彼らはそれぞれ米国を信じ、ソ連に忠誠を尽くして、国を裏切ろうとはしない。
そこに、紳士的なもの、ふたりの間に友情に近い気持ちが芽生えるわけです。
しかし、冷戦下はまだ紳士的だったとはいえ、結末の橋の上で交換されたアベルの行く末を見つめるドノバンの遠景ショットには、「敵は敵、信用すべきものではない」とも暗示されており、かなり苦い味わいでもある。
時代を超えて
東西冷戦下における米ソのスパイ交換にこうした史実があったことに感銘を受け、四面楚歌の状況でも正義を貫き通した主人公の強靭な精神力、また人間としてそれを受け止め、返したアベルとの友情に胸が熱くなりました。 良き家庭人で人権派弁護士トム・ハンクスの熱演とソ連のスパイ役 マーク・ライランスの抑制が効いた演技の対照の妙! ベルリンの壁の構築・権力側の無力さ・ショスタコーヴィッチ・塀を乗り越える場面の対比など目が離せません。 そして捕虜交換の地、グリーニッカー橋で交わされる 2人の短い言葉には、苦しくなるほどの重みがありました。 冒頭での自画像を描くシーンが甦り その真意に胸を掴まれ、ラスト、時代に翻弄されたスパイのその後に涙が溢れました。 ちなみに、最後の方の もう一枚の肖像画は、最初のものとはまったく違ったタッチで、一瞬 ディズニー作品のようにも見えたのですが、アメリカンナイズドされちゃったのでしょうか・・・ スパイを演じたマーク・ライランスさん、渋いおじいちゃんスパイに参りました。
シリアスな映画
007やミッションが大好きな人にはどうかな?スパイの苦悩やその時代を生きた人々の苦悩が良く描かれています。さすがトムハンクスの演技力は抜群です。 母がサンセット77の曲がテレビから流れて懐かしい!と言ってました。 家族愛 友達愛に溢れた作品です。映画ファンは必見です。
冷戦時代の雰囲気をうまく演出
アメリカで見ました。冷戦時代の米露の雰囲気を見事に再現していると思います。
映画はまずニューヨークでスパイ活動をしているソビエト側のアベルという人間が逮捕されるところから始まります。ブルックリンを舞台にしていて、ブルックリンに古い車や昔の服を着たエキストラを配置して1960年代の雰囲気を演出。地下鉄については今でもクソ古いので、特に演出をせずとも古い雰囲気が出てました笑
さて、逮捕されたところから、トムハンクスが演じる弁護士が登場。利益にならないのに、被告人には平等に弁護を受ける権利があるとの考えのもとで、アベルの弁護を引き受けます。しかし、これにより家族に対する嫌がらせが起きます。弁護士であると共に家族人でもあるドノバンの苦悩したことでしょう。しかし、ここらへんの苦悩はややあっさり演出されていました。物語の中心は交渉にありますし、個人的には家族愛押し付けが多いアメリカ映画の中では割とあっさりしていて良かったように思います。
さて、アベルの裁判はとても手続保障なんてないひどいものでした。ここらへんの議論は割と憲法とか、それなりにアメリカの司法手続に関する議論が出てくるので、予備知識があるとより議論を楽しめるかと思います。
裁判終了後、アメリカ側のスパイがソ連に捕獲され、ドノバンがその人質の交換の役割を担います。ここから舞台はドイツに移りますが、当時のベルリンの壁建設時の異様な雰囲気、共産主義国独特の雰囲気をよく演出できていたと思います。
交渉は、特にひねったものはなかったですが、調べたら史実通りだったんですね。アベルが橋でドノバンのために、すぐに向こう岸に渡らなかったところは本作品のクライマックスです。
総じて良作でした。やや感情描写が弱いかなと思いますが、万人におすすめできます。
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