「地味だが、頼りになるヒーロー」ブリッジ・オブ・スパイ 勝手な評論家さんの映画レビュー(感想・評価)
地味だが、頼りになるヒーロー
事実に基づく作品。U-2撃墜事件でソ連に抑留されたフランシス・ゲイリー・パワーズの釈放にまつわる話を描いている。
U-2撃墜事件は、ちょうどベルリンの壁が構築されて時期にも近く、冷戦が最高潮の頃。それを理解しないと、アメリカでソ連のスパイを弁護するということの意味、そして、東ドイツに単身で、且つ、公的な身分を持たずに乗り込むということの危険さを理解できないかもしれません。って言うか、ジェームズも、ソ連のカウンターパートか、東ドイツのカウンターパートに、送迎くらいお願いしても良いのではないかと思うんですが、それすら憚られるような状況だったのでしょうか?如何に敵国同士とはいえ、いまの誰が敵で誰が味方かわからないようなテロとの戦争とは異なり、今回の物語のようにスパイ交換が成立するような関係であったのですから、多少の便宜の提供は不可能では無かったのではないかと思うんですけどね・・・。
公的な身分は無く、ある意味スパイ大作戦の「君もしくは君のメンバーが捕えられ、あるいは殺されても当局は一切関知しないからそのつもりで」的条件を味方のCIAに突きつけられながらも、使命のために力を注ぐ地味なヒーローを、トム・ハンクスが非常に見事に演じています。あれは、トム・ハンクスじゃないとダメだよね、やっぱり。
フレデリック・プライヤー開放のシーンが中々興味深いですね。ボーゲルの車のまま、アメリカ軍占領地域まで入ってきているように見えるんですけどね。あれはアリなんでしょうか?
142分と、比較的長い作品ですが、非常に面白かったです。