「コメディ映画×ヒーロー映画の最適解! 特撮ヒーローものの新しい可能性、ここにアリ🐜」アントマン たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
コメディ映画×ヒーロー映画の最適解! 特撮ヒーローものの新しい可能性、ここにアリ🐜
スーパーヒーローが一堂に会するアメコミアクション映画「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」の第12作にして、体のサイズを自由に変えられるヒーロー「アントマン」の活躍を描く『アントマン』シリーズの第1作。
物体のサイズを自由に変えることができるスーツを手に入れた元泥棒のスコット・ラングは、世界最小のヒーロー「アントマン」として平和のために立ち上がる…。
脚本/製作総指揮/原案を務めるのは「スリー・フレーバー・コルネット」三部作や『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』のエドガー・ライト。
脚本に名を連ねるのは『奥さまは魔女』(脚本)や『アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!』(監督/脚本)の、名匠アダム・マッケイ。
○キャスト
サム・ウィルソン/ファルコン…アンソニー・マッキー。
ペギー・カーター…ヘイリー・アトウェル。
スティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカ…クリス・エヴァンス。
バッキー・バーンズ/ウィンター・ソルジャー…セバスチャン・スタン。
主人公、スコット・ラング/アントマンを演じるのは『ナイト ミュージアム』『ウォールフラワー』のポール・ラッド。なお、ラッドは脚本も担当している。
初代アントマン、ハンク・ピムを演じるのは『ゲーム』『ラストベガス』の、レジェンド俳優マイケル・ダグラス。
スコットの友人、ルイスを演じるのは『ミリオンダラー・ベイビー』『フューリー』のマイケル・ペーニャ。
制作はケヴィン・ファイギ。
製作総指揮/原作はスタン・リー。
日本国内では知名度が皆無に等しいヒーロー、アントマン。特撮ヒーローのような地味なルックスと体が小さくなるという地味な能力。はっきり言って、本作に期待していた人ってほとんどいなかったんじゃないかな?
正直、自分もあまり乗り気じゃなかった。『エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)であれだけ規模がデカい闘いを繰り広げておいて、次回作がこんなショボそうなヒーロー映画で良いの〜?とか思ってました…。
いや〜、舐めてた!すげ〜面白かった!
シリーズが進むにつれどんどん闘いのスケールがデカくなっていったMCU。それを一旦リセットするという意味で、このサイズ的にもスケール的にも「小さな闘い」を繰り広げるアントマンというヒーローをこのタイミングで主人公に持ってきたのは大正解🙆♂️
派手さこそないものの、まとまりの良い脚本と笑えるギャグ、意外性のあるスモール・ワールドの描写が映画的な面白さを十分に引き出してくれています😆
何より主人公のスコット・ラングが良い!
泥棒家業から足を洗いたいが、逮捕歴から仕事も見つからずズルズルと犯罪に走ってしまう、ヒーロー映画にあるまじき主人公。
養育費が払えないため別れた家族にもまともに会うことが出来ないという、涙無くしては見られない設定は見事。嫌でも彼に感情移入してしまう。バスキン・ロビンスでのバイトシーンとか、あまりに切なくて直視出来ないです…😖
スコット・ラングは特殊部隊出身とか、放射能を浴びたアリに噛まれたとか、実は宇宙人とか、超人血清を打たれたとか、そんな設定ではない。有能だが普通のオッさん。
一般中年男性が世界を救うためのミッションに挑むという荒唐無稽な設定。こんな設定を説得力を持って描くには、やはり修行させるしかないでしょう!!
本作ではこの修行シーンを、コミカルかつ丁寧に描いている!最初はダメダメだったオッさんがだんだんと強くなっていくという少年漫画的王道展開をしっかりと描いてくれるだけで、作品として好印象。こういう修行シーンを面白いものとして仕上げてくれるのは、少年漫画やカンフー映画のファンとしては非常に嬉しい!😆
コメディ映画としてのクオリティは過去最高と言っても良いのでは?ギャグの面白さはあの『GotG』(2014)を越えていると言っても過言では無い!
その面白さの中心にいるのはマイケル・ペーニャ。彼の演じるルイスというキャラクターが最高でしたー😂
基本暴力で解決するという短絡さと、話しが脇道に逸れすぎて何言ってるのかわからないというアホっぽさに愛嬌が溢れている♪口笛の件とかめちゃくちゃ可愛い😍本作でマイケル・ペーニャに惚れた!という人は是非『それぞれの空に』(2008)という映画もご覧になってみて下さい!このマイナー映画のマイケル・ペーニャも超魅力的なので!
クライマックスのバトルシーンのバカバカしさも見もの!アタッシュケース内でのバトルという発想はアメイジングだし、そこでの音楽の使い方が最高なのです!卓球のラケットでペシっとしたり、おもちゃの電車でバシッとしたり、小物の使い方もすげ〜良い🤣まさか「きかんしゃトーマス」がMCU入りを果たすとはねぇ…!
ラストの亜原子の描写はまるで高尚なSF作品のよう。全編にわたりバカっぽい展開を繰り広げておいてからのあの描写なので、縮み続けることの恐怖とか神秘性みたいなものがよりいっそう強調されていました。この辺りも巧みだと思います。
単体の映画としてもよく出来ているが、他のMCU作品との繋がりも興味深い。以外な接点が見えてくるし、誰もが思う「もう全部アベンジャーズに任せれば良くね?」という疑問に答えてくれている。てか、どんだけスターク一族嫌われてるんだ…🌀
そういえばピム博士が『エイジ・オブ・ウルトロン』での大乱闘についての皮肉を口にする事で、それとなくアベンジャーズの世間的な立ち位置を表していましたね。なんとなくアベンジャーズの前に暗雲が立ち込めているような…。
それにしても、ファルコンさん…。あんたなんて不甲斐ないんだ…。そんなんだから単独映画作ってもらえないんだゾ。
『ジュマンジ』(1995)とか『スパイキッズ』(2001)みたいな、子供の頃に見ていたキッズ・ムービーの精神を受け継いだ、正に少年のための映画。
大感動大作とか、歴史に残る名作とか、そんな感じの映画じゃないですが娯楽作品としては申し分ない出来の良さ。MCUシリーズでも上位の良作だと思います。
アントマンのスーツとかガジェット、日本の特撮ヒーローを思い起こさせる。アメコミファンだけでなく、特撮ファンにもおすすめ!