「一瞬に輝きが宿っている」ちはやふる 上の句 JIさんの映画レビュー(感想・評価)
一瞬に輝きが宿っている
瑞沢高校に入学した千早と太一は、西田、奏、勉と共に、かるた部を結成。それぞれに成長しつつも大会では主に、運に見放され運命戦で勝てない太一、試合で勝てず自信を無くした勉、が自身の課題と向き合い、克服し、主人公等が優勝する。
その後、新がかるたのやる気を無くしたことが告げられるところで終わる。
原作漫画未読、アニメ未見
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アニメーションが好きです。ひらがなのエレメントをモチーフにした様な曲線の造形がちょこちょこと素早く動くのがいい。この作品では精神の繊細な動きに目を向けており、このアニメ表現はインナーから湧き上がる情動を感じさせ、作品に合っていると感じました。
あるいは、未熟でちっぽけながら勢いにあふれた高校生の感じに合うようにも思います。
スローが印象的でした。中でも、試合で動かない勉に千早が札を飛ばすところ、最後優勝した時に千早が太一に飛びつくところなど、長回しのスローモーションで、注目すべき一時に至るまでの動きを強調しているのが印象的。過程を見せるスローモーションです。BGMも結構このスローモーションに合っていると思います。
かるたは静寂の中で一瞬の動きが炸裂するという強いコントラストが特徴的で、一瞬を強調できるスローが似合っていると思いました。
キャラの特徴や関係性を、結構ディテールで見せているのは好きです。例えば、大会でチームワークが未熟なことを、お辞儀のタイミングが少しずれるなどの細かいポイントで視覚化しているなど。
新が、かるたを練習しているシーンで、畳がボロボロになっていて欲しかったです。その方が激しい練習を繰り返したことが分るのでは? …私の好みですが。
試合中下を向いた人物の表情を、畳の下から見せるのが、ちょっと面白い。
終盤のシーンで。はじかれて画面の手前に滑ってきた札が、畳の端からカタンと落ちて、文字の面を見せる演出も気に入りました。
終盤の大会の場面、勉に、意外なくらい見せ場があって、良かったです。彼の顔や声のリアリティはいい。彼の泣き顔が結構好きです。それに、課題を克服したからといって、奇跡みたいに試合に勝利したりはしないあたりも現実的で良い按配だとおもいます。
他にも、ヒョロくん、肉まんくんなど、脇役に好きになってしまう人物が多かったです。おもしろい発声、仕草など、純粋に魅力的です。無論、千早もパーフェクト。
キャラの性格はみんなめちゃくちゃに感情的で、ポップな印象です。性格を誇張気味に作っていることが明快で、臭いセリフでもある程度安心して笑えました。
かるたで腕を振る一瞬のアクションを「FLASH」と表現した、Perfumeのエンディング曲は秀逸だと思います。(感情とか、他の意味も掛かっているでしょうが)リズムも凄く良く、Perfumeと中田ヤスタカさんが好きになりました。