劇場公開日 2016年6月11日

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「素晴らしい映画化。」64 ロクヨン 後編 mg599さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5素晴らしい映画化。

2016年6月12日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

興奮

横山秀夫の原作を瀬々敬久監督が映画化。
NHKのドラマとはまた違うアプローチで、あれはあれ、これはこれで、ともにクオリティの高い作品に仕上がった。

14年前の誘拐事件の犯人が誰とか、今回の模倣犯の犯人が、とか、そういうことは物語のメインではあるけれど芯ではない。
芯は、娘がいなくなったあとの父親の気持ち、そこにフォーカスを当てている。
横山秀夫の原作もドラマ版も、ここまできっちりとはやっていなかったような気がする。

娘が行方不明の三上広報官(佐藤浩市)、誘拐事件の被害者の父 雨宮(永瀬正敏)、模倣犯の被害者の父 目崎(緒形直人)。
このテーマを推し進めると、後編の見どころだったはずの捜査二課長(柄本佑)が何回も往復させられるシーンなどは削らざるをえない。

これはセリフで聞きたかったところだが、松岡(三浦友和)は、会う人ごとに「おまえは64の犯人か」と目で問い質していた。映画では松岡のそういう述懐はなかったが、松岡が初めて64の犯人に会うシーンは印象的に演出されている。三浦友和の目が確かに「おまえは64の犯人か」と問い質していた。これは原作を読んだ人へのごほうびみたいなものだ。

原作とはラストが違うという触れ込みだったが、違うというよりは追加したという感じである。それぞれの人物がそれぞれのケリをつけた。これはよしである。

「ソロモンの偽証」もそうだったが、ひとりの作家が命を削るようにして紡いだ物語を映画化するとき、映画人も本気でことにあたる。
こういう映画が増えれば、日本映画は、もっと豊かになると思う。

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mg599