「彼をモンスターに変えてしまったものは」ヒメアノ~ル るる 移行さんの映画レビュー(感想・評価)
彼をモンスターに変えてしまったものは
前半会話劇メインなコメディ、後半スリリングサスペンス、開始から40分くらい経ってからタイトルやR15表記がされた。ここから本当のヒメアノ~ルが開幕するよ的な構成がなかなか見なくて面白いなと思った。
前半の会話劇がめっちゃ面白い。ムロさんの独特すぎるちょっとサイコパス味がある変な男や、いい人すぎて、人に強く出れず、なんでも頼みを引き受けてしまうお人よし気味な岡田。ほかにも個性豊かな人がたくさんでていてみんなキャラが濃い(笑)それでいて、それぞれの人間の解像度が高い。岡田はサイコの板挟み状態になっていて可哀そうでとにかく不運(笑)
この映画は人が人を変えてしまう怖さを唱えたいのかな...いじめていた河島(河島のまわりでそれを助長していた人たちも悪いけど)をきっかけに森田は変わってしまった。あんなこことされて殺意わいて当たり前だということをさせられていた。河島を殺したのをきっかけに新たな性癖が芽生えたみたいなところもあるけど、殺人鬼になることで自分の精神を保っているみたいなところもあったのかなとも思う。あの頃の弱い自分は消したくて、自分の強さを証明するためというか。被害者は加害者を生む。裏表一体だ。いじめるということはそれだけ人を変えてしまうかもと想像することが大事だと教えるために学校で見せるべきでは、と思った(絶対無理)
そして終わり方はなんとも切ない終わり方。いじめられることなど全く知らなかったときの純粋無垢な森田。いじめを受けることがなければこのまま優しい心のまま大人に成長していたんだろうなと思うと悲しい。連続殺人鬼、悪だけど、森田の背景を考えると完全に悪だとは言い切れない。
殺したとしても消えない、消えることのない傷を負わせた河島の罪はでかい。。
最後の回想「お母さん、麦茶ー」な森田がありえないほど純粋な目をしていて今までの殺人鬼森田とのギャップがえぐかった。