「こっち系の映画最高傑作」ヒメアノ~ル ゴンベッザさんの映画レビュー(感想・評価)
こっち系の映画最高傑作
僕は中学の頃、イジめられてました。
森田くんがイジめっ子から、運動場である物を食べさせられるシーン、僕にも似たような経験が有り、食べさせられはしなかったものの、「落ちてるそれを触ったらイジめるのをやめてやる」と言われた事があります、迷わず触りました。
イジめが終わると本気で思ったから。
願ったから。
教室に帰ってみると、
僕がそれを触った事がクラス中に知れ渡ってました、どうやらイジめをやめるつもりはさらさら無く、
彼は僕の反応を見て笑いながら消しゴムのカスを投げつけてきました。
その時の当時僕が好きだった
女の子が僕を見て、笑いながら蔑んでいた目が今でも脳裏にこびり付いてます。
なんで俺が。俺だけがこんな目に。
殺してやりたい。こいつら全員を。
学校は行ったし、イジめられたお陰と言っちゃなんだけど、こういう本当に良い映画を観て心から感動できる感性が身に付きました。
恐らくそんなもの身につけなければ、全然違うキラキラした人生を歩めてたんでしょう。
劇中の森田くんはこんな僕の何倍も何十億倍も辛い想いをした結果、自己防衛本能的に壊れてしまったのかな?
よく言われるけど、
壊れた人間って多重人格者になるんじゃなくて、自我が崩壊していくのを客観視しながらも、実際に体験している感じ。
だからこそ止められない自分自身に絶望していく絶望、諦めていく感覚に悩みながら、悩んでることにも慣れて忘れてしまう。
実際に体験した自分から言えるのはそれです。
イジめてた奴らはそれなりのスーツを着て仕事し、それなりの嫁とそれなりの家に住み、それなりの永遠を手に入れて、歴史に名を残す事なく死んでいく。
社会は残酷だし、森田くんの身に起こった事は誰にでも起こる普遍的な出来事、フィクションでもなんでもない。
ラストシーン、高校でイジめを受けてから止まってしまっていた森田くんの「時間」また動き出したね。
死刑前日夜の食事、最後の晩餐として好きな物を食べさせてくれるというけど、
死刑の前日、森田くんは何を食べるのかな。