劇場公開日 2016年5月28日

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「笑えて、恐ろしくて、哀しく、色んな意味でぶっ飛びの衝撃作!」ヒメアノ~ル 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0笑えて、恐ろしくて、哀しく、色んな意味でぶっ飛びの衝撃作!

2016年11月3日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

悲しい

怖い

森田剛主演のバイオレンス・スリラーってぐらいにしか予備知識入れてなかったので、こりゃもう…!
コツンじゃなくガツンの衝撃を味わいたいのなら、あまり予備知識を入れないで鑑賞する事をオススメします。

何処からどう語ったらいいか…。
まず、作品のタッチ。
R15指定なので、最初からどんなにハードに始まるのかと思ったら!
あ、あれ? 作品間違えた?
濱田岳演じるビルの清掃バイトが、先輩(ムロツヨシ)に頼まれ、カフェで働く女の子(佐津川愛美)とお近づきに…。
コメディ!?
これはこれで面白かったからいいんだけど…そしたら折り返しの約40分過ぎ(このタイミングでメインタイトル!)、テイストがバイオレンス・スリラーへ。
前後半対比で確かにガラリと変わる。が、突飛な違和感は無く、それも自然に。
しかも、コミカルなエ○チシーンとゾクッとするバイオレンス・シーンをカットバックで見せたりして、そのユニークな手法には唸らされた。
監督は吉田恵輔。
ダメ人間を描かせたら天下一品の監督だが、初のバイオレンス作でも演出の巧さを充分に発揮している。

その吉田監督得意のダメ人間描写は本作でも活かされている。
登場人物が揃いも揃ってろくでなし。
先輩ムロツヨシはキモく、佐津川愛美演じるカフェの女の子は一見可愛らしいが、実は尻○&ヤ○マ○、彼女が合コンに連れてきたデブ女なんてぶっ○したいくらいムカついた。
濱田岳も一見好青年だが、少なからず卑怯な面あり。
そして言うまでもなく、森田剛。

高校時代の壮絶ないじめで心に深い闇を抱え、そして今、残忍な凶行に走るサイコ・キラー。
ただ邪魔ってだけで、平然と殺人を犯す。
佐津川演じるカフェの女の子のストーカーでもあり、見るからにヤバそうで、陰湿。
ジャニーズがここまでやるか…!
これを見ちゃったら、「脳男」の生田斗真なんて美化されてるだけ。
森田剛の演技をまじまじと見たのは本作が初めてのように思うが、その凄みに圧巻! V6にはもう一人、スゲー奴が居た。

濱田岳演じる青年と森田剛演じるサイコ・キラーは高校の同級生でもあり、二人を照らし合わせた作品でもある。
片や冴えない日々を送る冴えない青年に突然訪れた幸福、片や孤独で暗い日々を送る青年の苦しみ。
彼を凶行に駆り立てた動機、経緯、心理描写などは察しは付くが、説明的に詳しくは描かれない。そこがまた恐ろしい。人の心を蝕む突然の狂気。
ラストシーンもシュールと言えばシュールだが、哀しさも感じた。

色んな意味でぶっ飛びの一作であった。

近大