「笑って怯える。そして麦茶に救われる。」ヒメアノ~ル まえじーさんの映画レビュー(感想・評価)
笑って怯える。そして麦茶に救われる。
舞台好きな友人から「森田剛は凄い」とよく聞いていた。
だから、キャストありきの映画という認識はなく、純粋に映画を観に行った。
でもジャニーズがヤバイ狂気殺人犯役なんてと心のどこかで思っていた。
メインの二人が森田くん(森田剛)、岡田(濱田岳)とかもう音だけ聞いたらV6が浮かぶ。
最初ちょっと頭がファッとなる。
映画自体は予告篇やフライヤーに掲載されているように、前半は恋愛コメディたっちでとにかくくすくす笑える。
後半は違う映画を観ているかのようにひきつる。
後半が始まる時に、オープニングのように映画のタイトルが表示される。
監督が「ここから変わりますよ」と訴えるように敢えて入れたとどこかのインタビューで見かけたが、新鮮かつ切り替えになってとても良かった。
前半はムロツヨシ演じる安藤先輩がとにかくイライラするし気持ち悪さが半端ないし、近くにいたら嫌だなと思うのに、どこか憎めなくて笑ってしまう。
特に失恋した瞬間の発狂、髪型の変化はもう噴き出した。
吹き出し笑ってその後もジワジワ笑いが残るムロツヨシやべぇ。
後半はもう森田くんが怖すぎて、当分森田剛を直視できないレベルで怖かった。
人間の感情をなくしたぽっかり穴が空いた人ってこういう感じなんだろうなと思わせるほどの演技。その姿は人間じゃなかった。
前半も後半も普通の男の子な岡田(濱田岳)が救いになる。
でも一発殴りたくなる感。
ユカちゃんが働くカフェ(ロケ地:Royal Garden Cafeたまプラーザ)はよく行っていたので、なんか心が落ち着かなかった。
当分あの店には行けないなと思うほど森田くんの演技はただ怖かった。
少ないキャストで全員演技に見えない演技がヤバイ。
99分じゃないと体がもたない程、ツライ映画だった。
--以下ネタバレ--
ラストの怒涛のシーン。
飼っていた犬に似ている犬を避けようとして事故。
人間の心なんてもうないと思ったのに、本当はまだ残っていたんだなぁと一瞬でも救われた。
そしてそこをきっかけにヤバイ殺人鬼は昔の森田くんに戻っていて、何が何だか分からなくなる。
昔の森田くんが憑依したような「お母さ~ん!麦茶持ってきて!」のセリフと表情は鳥肌だった。
ラストのこのシーンが無かったら、後味最悪な映画だったなと思いながらも、凄い映画を観たなという気持ちでコンビニで麦茶を買って帰りました。