「戦場の静かな狂気」緑はよみがえる manamboさんの映画レビュー(感想・評価)
戦場の静かな狂気
1917年、イタリアアルプスの戦場。雪の稜線上に浮かぶ白い満月。束の間の休戦、イタリア兵が恋人を歌うカンツォーネが月夜に響く。目と鼻の先にいる敵のオーストリア兵たちからの歓声、「もっと歌ってくれ、イタリアーノ!」
塹壕に降り注ぐ砲撃。前哨の兵士達には戦う意味もなく、欲望も情熱も奪われ、偶然に委ねられた死と死の予感だけが彼らを支配する。この場所でずたずたに破壊された人の心は、緑のようにどこかで蘇ることができるのだろうか。オルミ監督からの時代を超えた問いがここにある。
“母さん 一番難しいのは赦すことですが 人が人を赦せなければ 人間とは何なのか”
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