これが私の人生設計のレビュー・感想・評価
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かゆいところに手が届く、至れり尽くせりのにイタリアン・コメディ!
正直、邦題もポスタービジュアルも今イチぱっとしないけれど…見逃すには余りにももったいない、最強のイタリアン・コメディがやって来た! 例えば、冒頭。田舎育ちの女の子・セレーナが好きなことに打ち込みながら成長し、建築家として海外に飛び出し活躍する過程をテンポ良く見せる。そんな彼女が、里心を一気に募らせるきっかけは、夜食の白いパスタ、赤いトマトソース、そしてバジルの緑の取り合わせ(イタリア国旗の3色!)。さらには、決め手のバジルはソースとなり、物語中盤では彼女に大きなチャンスをもたらすのだから心憎い。全編そんな調子で、スキも緩みもなく、絶妙なバランスで物語が形作られており、ぐいぐい引き込まれた。
女性が仕事で社会的に活躍することの難しさは、すでに繰り返し語られている。本作が新鮮なのは、女性が様々な場面でマンマ=お母さん的な役割を求められやすい上に、女性にとっても母親役は無難で演じやすいということを、力まずあっけらかんと描いている点だ。建設会社のボスは、秘書に面倒を掛けっ放しなのに、体面を気にして彼女の助言をうるさがる。憤って当然なはずの秘書も、現状に甘んじ、セレーナのように変化を求めようとはしない。…なんて話運びは、「女の敵は女」といったギスギスした展開になりそうだが、そこはイタリア。彼女には強力な助っ人がいた。それは、遠慮のかけらもない、おしゃべりでマイペースなマンマたち。集合住宅で出会ったおばちゃん、田舎から乗り込んできた母親と伯母、いずれもとにかくパワフル。マンマたちに振り回される中で、彼女は自分を見失わず、信じた道を貫くエネルギーをチャージしていく。マンマが腕によりをかけたテーブルいっぱいの料理を、共に囲む姿がそのしるし。そして、ユーモアは大切なスパイス! 美味しい食事と笑いは、苦境の中でも緊張をほぐし、元気をくれるのだ。
とはいえ本作は、女性だけに向けた物語ではない。女(男)はどうあるかという以前に、「一人の人間であること」が何より大切!と、明るく教えてくれる。それには、彼女の奮闘を支える、ゲイのバイト先上司・フランチェスコの存在が効いている。彼女との同居生活では平気で素の自分をさらす彼も、息子にはどう接していいのかわからず、距離を縮められない。彼女との関わりから息子との関係を見直していく彼の変化も手伝って、職場の一人ひとりがマイノリティであること=自分らしさを、声高らかにカミングアウトするクライマックスは、タイムアウト間際のロングシュートのように爽快だ。バシッとキマッた興奮そのままに、エンドロールの最後の一コマまで余韻を存分に味わいたい。ボナペティ!
【”天晴!イタリア男性社会で奮闘する女性建築家が、自らの生き方を貫く姿が素敵です。”イタリアーンなユーモアコメディ。】
ー イタリアって、日本と同じ男性社会だったかな。女性を尊重する社会だと思っていたのだけれどな、などと思いながらクスクス笑いながら鑑賞した。-
■幼少期から天才的な絵画、設計のセンスを誇った建築家のセレーナ・ブルーノ(パオラ・コルテッレージ)。
中国、ドバイ、ニューヨークなど世界中でキャリアを積み、故郷・ローマに戻ってきたが、男性中心の建築業界では思うような仕事に就けずにいた。
さらに、恋したトラットリアのイケメン、フランチェスコ(ラウル・ボヴァ)がゲイだと判明し、失恋するが彼はセレーナに優しい。序でに彼の恋人二コラ(マルコ・ボッチ)も優しい。
彼らの励ましの中、セレーナは公営住宅リフォームの公募に応募し、見事に選ばれるが、有名建築家のリパモンティ(エンニオ・ファンタスティキーニ)が、セレーナを男だと思い込んだ事から、物語はめんどくさくなっていく・・。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作は、今から10年前の作品であるが、日本の女性の管理職比率は依然として世界最低基準である。
それは、男女雇用機会均等法が施行されてから随分経つのに、社会が女性の活躍できる環境をキチンと整備していないからだと思っている。
実際に、管理職に登用しようとしてもご本人が断るケースを多数見て来ているから、そうは間違ってはいないと思う。
だが、今作はそんな理不尽な状況をコメディで笑い飛ばしている所と、男性(特に有名建築家のリパモンティの描き方ね)を、少ししょーもないヒトとして、描いている所が好感が持てるね。
・セレーナを応援するフランチェスコを始め、多くの人が実は彼女を応援している所が良いのだなあ。
男性セレーナに扮して、日本に行っているふりをしてTV会議に出る上半身はビシッと背広、下半身はパンツというフランチェスコのおバカな姿や、背景の桜が満開の大阪城の写真が貼られたボードを必死で支える二コラの姿が、可笑しい。
・セレーナがデザインした設計図に対し、何にも分かっていない有名建築家のリパモンティが、言葉を挟むとセレーナは我慢しきれずに、バシッと彼の設計思想の瑕疵を指摘し、会社を去るシーン。
彼女に対し”良く言った!”という眼差しで微笑んでから、それまでリパモンティにおべんちゃらを言っていた秘書のミケーラ(ルネッタ・サヴィーノ)を筆頭に、リパモンティの部下たちが掌返しするシーンは可笑しかったなあ。
<そして、セレーナはコピー取りだったセレーナの図面の良さを一目で見抜いていたモヤシじゃなかったピエトロ(コッラード・フォルトゥーナ)と恋に落ち、家族やフランチェスコたちと、楽しく食事を摂るのである。
今作は、イタリア男性社会で奮闘する女性建築家が、自らの生き方を貫く姿が素敵な風刺の効いたコメディ作品だと思います。>
抜け作でドジな主人公
ポジティブほっこりになれる良い映画!
笑いどころがツボで、各キャラクターが際立つほっこりなイタリアコメディ映画!
冒頭は主人公セレーナの生い立ちをテンポ良く説明していくが、この見せ方がコミカルで引き込まれた。
お母さんと叔母さんの掛け合いは騒がしいけど、愛を感じる。可愛らしい。
ひょんな事から同居する事になった、超イケメンのレストランオーナーに私も惚れてしまった。
おかまっぽくはないから尚更ゲイでもイケメンで惚れる。
なんだかんだセレーナを助ける優しいヤツ。
親友以上恋人未満な関係なのかなー、、、
でも、本当にお互いに愛があって、信頼できる関係がステキ。
何人も出てくるゲイ仲間のレパートリーが最高に面白い。
骨太のRGみたいな人は、紅茶を飲む時しっかり小指が立ってて可愛かった笑
男尊女卑な建築業界に自分を偽るしかなかった主人公。
最後はズバズバ!っと気持ちよく反論してスカッとなった。
終始微笑ましく観れました。
これから就職する若い女性に
今の産業に欠けているものは、教育だと思う。
『若者は携帯電話や下着のショップが欲しい訳ではない。勉強する所が欲しいのだ』映画の中のセリフ引用。
正にそのとおり。今の産業に欠けているものは、教育だと思う。
この映画はドタバタコメディで腹を抱えて笑えた。しかも、アメリカのドタバタではないイタリアのコメディで、洒落た結末が良かった。
封建的で男尊女卑の残るイタリアの田舎の現実。
各国の大学院で建築を学び、超エリート状態でイタリアに帰国した女性。
その女性が地元の田舎で活躍できるところは何もなかった。。。
日本にもある男尊女卑、セクシャルマイノリティへの偏見、パワハラまがいの社長、それがギュッとコミカルに凝縮したような作品。
建築のコンペで、女性だとそれだけで採用されないというのはまだまだ存在していることを闇に示し、それを風刺した内容は男性や上の世代の人は知るべきだ。
邦題はいつもセンスない
イタリア映画はあまり見たことがないので、
言葉の響きが新鮮だったな。
メインになる話はさほどはっきりしてなくてセレーナの
ぷちな仕事、恋、などのエピソードが面白く描かれている。
セレーナがゲイのイケメンに恋をして相手にされない切なさは
ちょっと面白いかな。モヤシくんが彼氏になるのは取ってつけたようで
続編があるならいいかもって感じ。
ちょっと気になったんだけど、この映画って話カットされてない?
セレーナの会社での同僚とか社長とかのカラミがあまりなかった気がするんだけど。
ラストで社員が社長に反旗を翻していたが社長って別になんか酷いことはしてない気が
するんだけどな。
だからラストのあのシーンは腑に落ちないんだけど。
主演がかわいくコメディの演技も達者な点が良い
女性建築家としての奮闘記とバイセクシャルが絡むラブコメディ、というこれまでお目に掛かったことのない作品。オリジナリティがあるし面白いと思った。
主演がかわいくコメディの演技も達者な点が良い。ここで躓くとせっかくの内容でも見る気が失せるものである。
バイセクシャルの描き方がコメディということは、これ面白がってるのでそこは批判めいた感情を抱く人もいるとは思う。個人的には失礼ながら面白がるのを理解する方なのでオッケー。こればっかりは性質。どんなに徳を積もうが変えようがない。
序盤のいかにもコメディなあらまし説明で、これはダメかとおもったが挽回してくれた。
こじらせ女子イタリア版
イタリアの中でも相当な片田舎出身ながら優秀な建築士になり、バリバリ仕事をしていた主人公。ところが建築界ではホットな北欧事務所に異動すると、冬の寒さにやられてしまい、故郷イタリアが恋しくなって、キャリアを捨てて帰国してしまう。
建築の仕事がないためアルバイトに就き、魅力的なオーナーに出会う。しかし、相手も好意を持ってくれたものの女性は愛せない男性だった。田舎の母親も叔母も結婚しろとうるさい。そんな中で目にした建築コンペで採用されるが、それは男性建築家の仕事として、という偏見つき。他にも妊娠したら解雇、優秀なスタッフも女性は重用してもらえないなど、なかなかシリアスな環境の中、前向きでめげない主人公を中心とした、イタリアらしいおしゃれで明るいコメディに仕上がっていて、とても楽しかった!
(中でも田舎のおばさんが超絶面白い人物造形だった!)
喜劇仕立ての抗議文
お正月から殺漠としたバイオレンスや悲しい物語は見たくないのでイタリアのコメディ、本作を鑑賞、ラテン系ならではの明るい展開で面白いのだが、観たばかりの「ボヘミアン・ラプソディ」に続いてゲイの彼氏が活躍する映画?、またですか・・。
凄腕の女性建築家が大規模共同住宅の改修プランに応募する話なのだが女性だと相手にされないので一計を案じる、頼るのはいかにもイタリアのちょい悪オヤジ風なのだが・・、プロットは観てのお楽しみ。
原題のScusate se esisto!(私が見えますか!)は面接で男性陣に「無視しないでよ、失礼ね!」って言うセリフからでしょう。
素敵なコメディ、登場人物もバラエティに富んでいるし小技も笑える、子供の描く画がミケランジェロ並みだったり、音楽を使ったおふざけも秀逸、おもわず吹き出してしまった。
女性建築家といえば新国立競技場の最初の候補だったザハ・ハディッドさんが思い浮かぶが建築業界は未だに男性優位社会、彼女は稀な成功者だったのだろう、全米建築家協会によれば建築事務所で監督責任者として働く女性の割合は5パーセント程度だそうだ。本作は実際に2009年に行われた、ローマのコルヴィアーレ再生計画のコンペで一等になった、女性建築家グエンダリーナ・サリメイの「CHILOMETRO VERDE(緑の空間)」からヒントを得たそうだ。彼女も困難があることは確かだが女性ならではの視点が有利になる場合もありプロジェクトでは仲間たちに認められているそうだ。
建前は別として本音が通じにくいメッセージ、ヒステリックに叫んでも逆効果なのでコメディ仕立てでどうでしょうという狙い、風刺まじりは喜劇の王道でしょう。
良くできたコメディ、リモート会議は日本の設定、仕掛けは実にキャッチ―でした。
ラウル・ボバも好演ですがゲイねたが満載すぎて微妙、いちゃつくシーンは声だけだがヒロインがハンドミキサーで野菜をかき回すシーンを被せるのはモンティパイソンばりのメタファーでしょう。
イタリアはモードの国なので業界人にはイケメンでハイソなゲイが大勢いるらしい。「いい男はみんなゲイ!」というのもイタリア女性の本音なのかも。
監督も?と思ったらキュートなコメディエンヌ、ヒロインのパオラ・コルッテレージさんはリッカルド・ミラーニ監督の奥様でした。
明るい中にも色々考えさせられる映画
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