「地味な変身ファンタジー」靴職人と魔法のミシン odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
地味な変身ファンタジー
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たいがいの人には変身願望があるらしい、できないことを叶えるのも映画の魅力、ヒーローへの変身物は多いが外見だけ靴の持ち主に変るという設定はユニーク。
透明人間になったら何をしたいかという妄想話は昔からあるが刺激を求めて覗き趣味に走るのが落ちだろう、スパイものでも特殊メークで敵に化けて潜入なんて常道になってしまった。
監督のトーマス・マッカーシーと脚本のポール・サドがたまたま靴の話をしていた折に思いついたらしい、では、どんな人物に変身の力を委ね、どう使わせると興味深いか、魔法の種明かしはどうするか色々知恵を絞ったのだろう。舞台はN.Y.マンハッタンのロウアー・イースト・サイド、監督も脚本家も所縁のあるよく知る地域だそうだが、洗練されたブロードウェイとは真逆の古くから移民たちが移り住み、ユダヤ文化の色濃く残る職人の街である。主人公の靴の修理人マックス(アダム・サンドラー)も最初は興味本位だったものの親孝行に活かしたり悪徳地上げ屋を懲らしめたりと靴ならぬ世直しに奔走する。その姿を認めたかのように失踪したはずの父親(ダスティン・ホフマン)が現れ正体を明かす、フリーメーソンばりの職人ギルドの大物、その後継者に息子を誘うのであった。地味な変身、先の読めない展開でB級映画かとやきもきしたが終わってみればめでたしめでたし(最後の洗濯屋のくすぐりが分からなかったのは悔しい、誰か教えて・・)。
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