黄金のアデーレ 名画の帰還のレビュー・感想・評価
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さすがのヘレン・ミレン。 美しく歳をとるって、この人のための言葉だ...
さすがのヘレン・ミレン。
美しく歳をとるって、この人のための言葉だなぁ、と思うほど美しかったです。
ライアンも良かった。
祖国を追われ、家族と離れ離れにされ、宝物を根こそぎ没取された。
ナチの追っ手から逃れるシーンは、本当にハラハラドキドキ。今年一番の作品でした。みんなにオススメしたい。
現在のストーリーの中に、主人公マリアの過去が断片的に挿入されていま...
現在のストーリーの中に、主人公マリアの過去が断片的に挿入されていますが、混乱することなく楽しめました。
20代の私は弁護士ランディの方に感情移入して鑑賞しましたが、マリアとランディ、どちらを主軸に置いても楽しめるかと思います。
ナチ支配下のシーンがありますが、残虐なシーンは無かったはずなので万人におすすめしたい作品です。
錚々たる家系。
邦タイトルに今さらながら唸ってしまう。名画の帰還とは(拍手)
先日公開されたミケランジェロ~と同様、ナチス略奪品の奪還劇。
個人が国家を訴えて勝訴してしまったという凄い実話なんだけど、
万歳~めでたしめでたし~なだけではないところが複雑でリアル。
戦争の遺品は思わぬ場所で未だに被害者を翻弄する。占領された
祖国(両親)を捨て米国に亡命した女性マリアの名画返還に対する
熱意は姉の遺した手紙と共に自身が果たすべき使命だと描かれる。
とはいえ過去を掘り返すことは自身の辛い過去を振り返ることに
なり、あれだけ毅然としていた彼女がもういいと絶望してしまう。
ヘレンの名演が名画と匹敵するだけに成り立つようなドラマだが、
弁護士役ライアンがどうも個人的に不似合いに見えて覚束ないと
思ったのが後半、彼の大活躍で裁判が動き鮮やかな幕切れとなる。
なるほど、キャスティングに狂いはなかったんだなと改めて実感、
チラリ出演ながら記者役ダニエルの巧みな存在感が際立っている。
(しかしこの弁護士さん、大作曲家の孫だっていうのもすごいわね)
ライアン=レイノルズを主役と見るかヘレン=ミレンを主役と見るか!
22歳の私はライアンに感情移入しながら見ました。
過去にあった事をよく知らない、よくわからない身としては徐々にオーストリアのホロコーストの様子を知っていくという様子はライアンに近い物だったと思います。
また、両者とも演技力があり感情移入しやすい映画でした。
第三次世界大戦が起こるかもと言われる今だからこそ戦争の卑劣さを現代に訴える映画の1つだと思います。
また、政府と個人の戦いという法廷バトルも手に汗握る物でした。
戦後70年。戦争とそれにまつわる物語の作品が多い年ですね。
画家グスタフ・クリムトの『アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像Ⅰ』他の作品の所有権を巡って実際にあった裁判と裁判を起こした女性の運命の物語を描いた作品。
この映画を見るまで、クリムトという画家の名前も、この様な裁判が行われていたことも全く知りませんでした。クリムトの件はさておき、今年2015年は、第二次大戦を舞台にした作品が多いですね。欧米然り、日本然り。やはり、戦後70年という節目の年だからでしょうか?
それにしても、所有権を主張したマリアは良いですが、彼女が組んだ弁護士が若手で実績がなく、崖っぷちの弁護士であるというのは、まるでドラマであるかのような設定ですね。いや設定ではなく、本当なんですけどね。
この作品『アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像Ⅰ』の所有権移転が実現した大きな理由の一つに、弁護士のランドル自身も実はウィーンにルーツを持つユダヤ人の家系であったと言う事もあったと思います。確かに最初は、お金と有名になれるという打算的な理由でランドルは取り組み始めていましたが、ウィーンに行ってホロコースト記念碑を目にしてからのランドルは、何かが変わったようでした。ランドル自身も、それで課題意識を強く持ったんだと思います。
それと主人公のマリアを演じたヘレン・ミレンは外せませんね。イギリス女王を演じたり、今回のようにオーストリアの名家の人物を演じたりと、変幻自在の演技は素晴らしいです。
いやぁ、最後のマリアのオーストリア側の弁護士へのセリフは痛快でしたね。そりゃそうだよな。まぁ、あの弁護士も恥を忍んでいったんだと思いますが、それが受け入れられると思っていたのは、思い上がりですね。
中々面白かったです。
予想以上の秀作
ヘレン・ミレンがいいのは周知の通りですが、それだけでなく、作品自体の出来が予想以上に良かったです。とても上手く仕上がっています。ライアン・レイノルズの熱演も好印象。
重くなりすぎず、地味ながら展開を追うスリルがあり、全く退屈しないし、散りばめられたパーソナルな描写が心にグッと効いてくる。
大衆という名の狂気。
見た目の渋さよりも、ずっと楽しめる一本。
先の「ミケランジェロ〜」と併せて観たい、戦後どさくさ美術史。
絵画と思い出と、過去と現在を巧く織りなす作劇と。
役者陣の演技が魅力的だったのが良かった。
ただ、主役というかヒーローはどうしても弁護士だよなぁ。
歳を取っても言う事をコロコロ変えて、自己中心的に周りを振り回す我儘な女性像は、映画的には必要だとしても(「ウォルト・ディズニーの約束」もそうだ)。
個人的には何もその人には魅力を見出せないのがしんどかった。
対照的なド根性奥さんが出てきたのが、本当に救い。
とまぁ個人的な感情は別としても。
楽しんで学べる大人な雰囲気の作品。
拍手!
途中からボロ泣きでした。
ミケランジェロプロジェクトも見た人が多いようで。私もそのひとりですが、やっぱり合わせて見ることをオススメしたいですな!
ナチスの迫害に、略奪してやりたい放題のドイツ軍人に、これが最後だとわかっている家族との別れの場面。見ていて辛くて仕方なかった。ナチだけが悪いんじゃなくてナチと一緒にユダヤ人を侮辱して笑ってたオーストリアの人達も加害者だから、マリアが祖国を嫌うのも最もだわ。こういうことは日本もやってたんだろうな。
オーストリア政府との戦いも、マリアとランディとの関係も、苦難がいっぱいで、ずっと祈るような気持ちで釘付けでした。2人が戦う腹立つお偉いさんたちも、2人をサポートする人達もみんないいキャラしてます。
画そのものについての詳細な魅力が紹介されなかったので、ちょっとそこが残念?かな?
是非映画館で見てください!
クリムト
戦争映画でないナチスやユダヤ人迫害をエッセンスに入れた映画多いですね。最近の世界情勢に漠然とした危機を感じているから余計に映画の中に過去の現実を見る思いがしました。ただただ美しくて哀しげと思っていたクリムトの絵にこんな真実があったなんて、この裁判が行われていた時代に生きていながら知りませんでした。もう一度見たい映画です。
絵の中の人生
マリアが、そしてマリアの姉が取り戻したかったのは、絵というよりはその絵の中にあった生活、家族、人生だった。
マリアがずっとオーストリアには戻らず、ドイツ語も封印して生きてきたから、過去を取り戻す事は過去(ウィーン)に連れ戻され、両親を見捨てた自分に向き合う事だった。
ウィーンの壮麗な建物が、その負の歴史を感じるととても重く、権威的に見えた。カリフォルニアとは対照的で時間と距離、歴史の違いを感じた。
ただ、ただ、私の家族のものだった絵を取り戻したい一心で。
老齢のマリア(ヘレン・ミレン)が、ときに寂しく、ときにチャーミングに、そしてゆるぎない芯を貫いていく姿が素晴らしかった。
美しいウィーンの街並みを舞台に、現代と過去が見事にシンクロしていく過程がじつに違和感なく、「アデーレ」を取り戻したい情熱が溶け込んでいく。
かつて自らが住んでいた、そして、結婚式を挙げた建造物のなかでの回顧シーンは、感動的であった。
この物語が事実であることを既知していながらも、スリリングな展開にヤキモキしてしまう。
最後にマリアは勝利を得た。いや、得たというよりは取り戻しただけなのだ。あのとき、彼女が失ったものの多くはけして戻っては来ないのだ。そう思うと、喝采を送る気持ちよりも、やりきれない切なさしか残らなかった。
後半は涙
美しい芸術や音楽の裏にある残酷な歴史。オーストリアの美しい街並みとも対照的でした。
絵画の返還は、そういった悲しい史実を紐解き、改めて過去の過ちを反省する鍵になるのですね。これはほんの序章に過ぎないということかも知れません。
感動しました。
ミケランジェロプロジェクトを観ていたので、こちらは、レビューが良かったので観に行きました。
ナチスによって奪われた絵画、こちらは人々の生活までも脅かしていた様子が描かれていましたので胸が痛みました。
苦しい過去に戻ることの辛さ、前向きな姿勢、1枚の絵画への想い、複雑な心情が描かれていました。
ラストは感動します。二人の演技力の高さも素晴らしいです。
派手さはないが心揺さぶる名画
ネタバレ感あるタイトルなので結末はわかってしまう。知る人ぞ知る史実なので、そこは問題はないとは思うけど。
ナチス時代に略奪されたクリムトの代表作である黄金のアデーレをオーストリア政府に返還訴訟を起こしたアデーレの姪にあたる女性の実話。
ストーリー展開は淡々としていて、法廷バトルの映画と云うわけでもない。それでも所々で差し挟まれる回想シーン、マリアを演じたヘレン・ミレンによってその時代の根深い問題を見せつけられる。ホロコーストやナチス政権時代のオーストリアなど歴史的な背景をある程度知った上で見ないと面白くないかもしれない。人種差別や戦争、民族の誇りや国の在り方や様々な問題提起を静かに語りかけてくるような映画。愛すべき祖国へ足を踏み入れることをマリアが拒む気持ちを想像するとき、胸が締め付けられる。エンドロールの間もしばらく余韻に浸っていられる良い映画でした!
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