黄金のアデーレ 名画の帰還のレビュー・感想・評価
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なんか引っ掛かる
ナチに略奪されたクリムトの絵を取り戻す話なんだよ。
法廷闘争は良く描かれてるし、ヘレン・ミレンとライアン・レイノルズの演技も凄く良い。フィクションだったら、すごくいい映画だと思うよ。
ただ現実の話だから引っ掛かんの。
「ナチに全てを奪われた」ってのは酷い話だし「ナチひでえ!」と思う。とはいえ、元の生活は凄いお嬢様なんだよね。クリムトの絵が家にあるくらい。なんか、そこでもう、共感できない。
弁護士もね「ウィーン出張で何かが変わったんだ」って、仕事辞めて借金して弁護を続けんの。奥さんも献身的なの。「ええ話や」と思うね。
でもさ、流石に成算なかったらやらないでしょ。
「勝っても負けても、これで知名度が上がるから、弁護士としてやってけるんだ」と思ってると思うな。その辺も描いて欲しいわ。
それでこの人達、最後オーストリアから取り戻した絵を売って無茶苦茶もうけんの。「えー!」と思うね。
これだけ崇高なこと言ってんなら、オーストリアが不法収奪認めたことに納得して、絵は美術館に残せばいいのに。
法廷闘争でアメリカの最高裁で勝ってるしね、なんか最後はアメリカvsオーストリアみたいに見えちゃうね。ヨーロッパがアメリカに屈したように見えちゃう。
その辺りが、ちょっと観終わってスッキリしなかったな。
素材はすべて超一級品なのだが
音楽の都、芸術の都といわれるオーストリア、ウィーン。モーツァルトやベートーヴェンが住んだ街であり、ここで開かれる音楽祭には世界各国から観客が押し寄せる、世界有数の観光都市。そこが故郷なんて、日本人からすると羨ましく思いますね。
だけど、その故郷に、二度と帰りたくない、と思う人物もいるのです。
華やかなウィーン。実は影の顔があります。ウィーンがあまり表に出したくない、忌まわしい過去。
かつてナチスドイツがウィーンを併合したとき。ウィーン市民たちは、あのヒトラーを大歓迎して出迎えました。
やがてウィーンでもユダヤ人の迫害が始まります。
迫害などという生易しいものではなかった実態が、本作でも描かれます。
それはナチスがユダヤ人を「狩りの獲物」のように執拗に追回し、狩っていたのです。
本作については、正直、やや期待しすぎました。
なにせ、主演はエリザベス女王を演じたキャリアを持つ、ヘレン・ミレンですよ!
僕はヘレン・ミレンが演じた「クィーン」を観ました。
そのとき僕は、精神状態が極めて敏感になっていた時期でした。
上映中、あまりにいたたまれず、途中退席した記憶があります。
それは作品が稚拙だったからではありません。その真逆です。
作品が素晴らしすぎたのです。
ヘレン・ミレン演じる、エリザベスのあまりの孤独、疎外感、その波長が、当時、僕が置かれていた境遇と、まさに振幅がぴったり合ってしまったのです。
小さな振動でも、ある周波数の波長が合うと「共振」という現象が起こります。それは巨大な橋梁でも破壊してしまう巨大な力となります。
僕の精神の中に、まさにその「共振」が起こったのでした。
ヘレン・ミレンの演技によって僕の心が破壊されそうになったのです。
それほどすごい作品であり、名演でした。
そして本作では、作品のモチーフとして、グスタフ・クリムトの傑作と名高い「黄金のアデーレ」という肖像画が登場します。
ナチスによって強奪された、この名画の返還を求めて、主人公マリア・アルトマンがオーストリア政府を相手に訴訟を起こし、ついに名画を取り戻すという、奇跡のような本当の話がベースになっているのです。
セミドキュメンタリー仕立てなのですね。
「事実は小説より奇なり」はまさに真理です。
頭でこねくり回したストーリーより、ドキュメンタリーの方が数百倍も面白い。興味深い。
これだけの「美味しい」材料をギュッと映画作品に押し込んだのが本作。
面白くない訳がない!!
とあなたも、思うでしょう? 僕もそう思ったから観に行きました。
ところが、実際は、残念ながらイマイチでした。
告白すると、前半はうかつにも寝てしまいました。
最大の問題は、編集でしょうね。
映画の後半などは、安物の紙芝居のようにポンポンとストーリーが展開してゆきます。
ヘレン・ミレンの重厚な演技を期待したいところでしたが、これが監督の趣味の問題なのか、意外にあっさりとした味付け。
むしろ素晴らしかったのは、回想シーンにおける、若い頃の主人公。それを演じた、日本ではほとんど知られていない女優さん、タチアナ・マズラニー。
この人は良かったねぇ~。ちょっと大竹しのぶさんに似ていますよ。
ナチスの追っ手が迫ってくる。夫と共に、オーストリアからアメリカへ脱出を目指します。隠れては逃げ、隠れては逃げ、あと少しで飛行場までたどり着く、その緊迫感。
ナチは、逃げるユダヤ人相手には平気でピストルを向ける、発砲する。もう、相手を人間と思っていないのです。そういうナチスの手から逃避行をする緊迫のシーン。これはよかったですよぉ~。
当時、ユダヤ系の人たちがどのような形で、国外へ逃れたのか? 本当に命がけの逃避行であったことがわかります。
それから、本作において、ヘレン・ミレンが、あえて「ドイツ語訛り」の英語を話していることに、皆さん気づかれましたか? その辺りはさすがですね。
それから、ウィーンの新聞記者役のダニエル・ブリュール。彼はもう、抜群でしたね。むしろ本作において真実味や、重厚さを与えたのは、彼の存在感が大きかった。彼のドイツ語でのセリフ回し、これが何より作品に緊迫感とリアルさを与えていて素晴らしかった。
彼の主演した「コッホ先生と僕らの革命」 「ラッシュ/プライドと友情」どちらも僕は鑑賞しました。素晴らしい俳優さんに成長していますね。
本作では、訴訟を起こすキーマンとなる、若いアメリカ人弁護士、この人は作曲家のシェーンベルグの子孫なんですね。ウィーン政府相手に大胆な訴訟を起こし、一度は挫折を味わうわけですが、その後、アメリカでも訴訟を起こせる、と思いつき、再度アメリカにおいて訴訟を起こします。この辺りの彼の複雑な心境、自分の出自、そして、もう一度訴訟を起こそうと決意する、そのあたりの心の揺れ動き、一つの国を相手に一個人が訴訟を起こすという、極めてレアなケースの訴訟を、「どうしてもやり抜くんだ」という決意。それが、どうして彼の心の中で生じたのか? その動機をうまく表現できないもどかしさを感じてしまいました。このあたりがちょっと残念。さらには「黄金のアデーレ」という名画、とクリムトという絵画界の大スター、これをもう少し掘り下げて描いても良かったのでは? と美術ファンなら思うところなのです。その辺りに食い足りなさを感じてしまう作品でありました。
いやぁ~、作品を構成する素材はすべて超一級品ばかりだったからこそ、それを生かしきれなかったのは、残念でなりませんでした。
良かった
ヘレン ミレンが、素敵でした。
あんな風に素敵に歳をとれたらと思いました。
マリアの家のインテリアやファッション、ウィーンの家で使っていたデキャンターはバカラでしょうか?美しい物ばかりでした。
ストーリーも、もちろん楽しめました。
DVDで、また細かい所まで見たいです。
さすがのヘレン・ミレン。 美しく歳をとるって、この人のための言葉だ...
さすがのヘレン・ミレン。
美しく歳をとるって、この人のための言葉だなぁ、と思うほど美しかったです。
ライアンも良かった。
祖国を追われ、家族と離れ離れにされ、宝物を根こそぎ没取された。
ナチの追っ手から逃れるシーンは、本当にハラハラドキドキ。今年一番の作品でした。みんなにオススメしたい。
現在のストーリーの中に、主人公マリアの過去が断片的に挿入されていま...
現在のストーリーの中に、主人公マリアの過去が断片的に挿入されていますが、混乱することなく楽しめました。
20代の私は弁護士ランディの方に感情移入して鑑賞しましたが、マリアとランディ、どちらを主軸に置いても楽しめるかと思います。
ナチ支配下のシーンがありますが、残虐なシーンは無かったはずなので万人におすすめしたい作品です。
可愛いお婆ちゃん
封切りのSWを観るか、上映が終わってしまうアデーレを観るか迷いましたがSWは混みまくってるだろうとコチラにしました。
実話を基にした話はあまり好きではないのですが評判良かったので観てきました。
場内は歳を重ねたお姉さんたちばかりで一人浮いてる感じでした。
バックボーンは戦争なので重いテーマではあるんですが私には少し単調でした。
前半はウトウトしかけましたね。
途中、ランドルが仕事を辞めてまで、この絵を取り戻そうと奮闘し始めてからが面白かったです。
想像通りの展開でしたが心に沁みるものはありました。
戦争は何も生み出さないですね。
終わった後、劇場を出るとライトセーバーを持った集団がごった返してました(笑)
錚々たる家系。
邦タイトルに今さらながら唸ってしまう。名画の帰還とは(拍手)
先日公開されたミケランジェロ~と同様、ナチス略奪品の奪還劇。
個人が国家を訴えて勝訴してしまったという凄い実話なんだけど、
万歳~めでたしめでたし~なだけではないところが複雑でリアル。
戦争の遺品は思わぬ場所で未だに被害者を翻弄する。占領された
祖国(両親)を捨て米国に亡命した女性マリアの名画返還に対する
熱意は姉の遺した手紙と共に自身が果たすべき使命だと描かれる。
とはいえ過去を掘り返すことは自身の辛い過去を振り返ることに
なり、あれだけ毅然としていた彼女がもういいと絶望してしまう。
ヘレンの名演が名画と匹敵するだけに成り立つようなドラマだが、
弁護士役ライアンがどうも個人的に不似合いに見えて覚束ないと
思ったのが後半、彼の大活躍で裁判が動き鮮やかな幕切れとなる。
なるほど、キャスティングに狂いはなかったんだなと改めて実感、
チラリ出演ながら記者役ダニエルの巧みな存在感が際立っている。
(しかしこの弁護士さん、大作曲家の孫だっていうのもすごいわね)
ライアン=レイノルズを主役と見るかヘレン=ミレンを主役と見るか!
22歳の私はライアンに感情移入しながら見ました。
過去にあった事をよく知らない、よくわからない身としては徐々にオーストリアのホロコーストの様子を知っていくという様子はライアンに近い物だったと思います。
また、両者とも演技力があり感情移入しやすい映画でした。
第三次世界大戦が起こるかもと言われる今だからこそ戦争の卑劣さを現代に訴える映画の1つだと思います。
また、政府と個人の戦いという法廷バトルも手に汗握る物でした。
戦後70年。戦争とそれにまつわる物語の作品が多い年ですね。
画家グスタフ・クリムトの『アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像Ⅰ』他の作品の所有権を巡って実際にあった裁判と裁判を起こした女性の運命の物語を描いた作品。
この映画を見るまで、クリムトという画家の名前も、この様な裁判が行われていたことも全く知りませんでした。クリムトの件はさておき、今年2015年は、第二次大戦を舞台にした作品が多いですね。欧米然り、日本然り。やはり、戦後70年という節目の年だからでしょうか?
それにしても、所有権を主張したマリアは良いですが、彼女が組んだ弁護士が若手で実績がなく、崖っぷちの弁護士であるというのは、まるでドラマであるかのような設定ですね。いや設定ではなく、本当なんですけどね。
この作品『アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像Ⅰ』の所有権移転が実現した大きな理由の一つに、弁護士のランドル自身も実はウィーンにルーツを持つユダヤ人の家系であったと言う事もあったと思います。確かに最初は、お金と有名になれるという打算的な理由でランドルは取り組み始めていましたが、ウィーンに行ってホロコースト記念碑を目にしてからのランドルは、何かが変わったようでした。ランドル自身も、それで課題意識を強く持ったんだと思います。
それと主人公のマリアを演じたヘレン・ミレンは外せませんね。イギリス女王を演じたり、今回のようにオーストリアの名家の人物を演じたりと、変幻自在の演技は素晴らしいです。
いやぁ、最後のマリアのオーストリア側の弁護士へのセリフは痛快でしたね。そりゃそうだよな。まぁ、あの弁護士も恥を忍んでいったんだと思いますが、それが受け入れられると思っていたのは、思い上がりですね。
中々面白かったです。
予想以上の秀作
ヘレン・ミレンがいいのは周知の通りですが、それだけでなく、作品自体の出来が予想以上に良かったです。とても上手く仕上がっています。ライアン・レイノルズの熱演も好印象。
重くなりすぎず、地味ながら展開を追うスリルがあり、全く退屈しないし、散りばめられたパーソナルな描写が心にグッと効いてくる。
大衆という名の狂気。
見た目の渋さよりも、ずっと楽しめる一本。
先の「ミケランジェロ〜」と併せて観たい、戦後どさくさ美術史。
絵画と思い出と、過去と現在を巧く織りなす作劇と。
役者陣の演技が魅力的だったのが良かった。
ただ、主役というかヒーローはどうしても弁護士だよなぁ。
歳を取っても言う事をコロコロ変えて、自己中心的に周りを振り回す我儘な女性像は、映画的には必要だとしても(「ウォルト・ディズニーの約束」もそうだ)。
個人的には何もその人には魅力を見出せないのがしんどかった。
対照的なド根性奥さんが出てきたのが、本当に救い。
とまぁ個人的な感情は別としても。
楽しんで学べる大人な雰囲気の作品。
すごくよかった
主人公の奥さんが、彼の背中を押す場面が素晴らしかった。破水していて自分も大変な時にあんな風に言えるなんて、すごい女性だ。
法律的に決定的な証拠があっても、ちょっとした意図で採用されなかったり、理不尽な裁定が下る事もあるというのがとても残念だ。しかしそれが現実で、それを受け入れようとするお婆さんの立場も分かる。
絵が返還されることが決定して、過去と現在を行き来する場面がとても感動的だった。高校生くらいの時は感動的な音楽が掛かるだけで鳥肌が立ったものだが、久しぶりにじわじわと鳥肌が立った。映画を見ただけで彼女の辛さや悲しみが理解できるわけはないのだが、伝わるものがあったのだろう。
おばさん向けの映画だと思っていたら、法廷サスペンスの要素もあり、文系の静かな闘争が熱く描かれていてとても面白かった。
拍手!
途中からボロ泣きでした。
ミケランジェロプロジェクトも見た人が多いようで。私もそのひとりですが、やっぱり合わせて見ることをオススメしたいですな!
ナチスの迫害に、略奪してやりたい放題のドイツ軍人に、これが最後だとわかっている家族との別れの場面。見ていて辛くて仕方なかった。ナチだけが悪いんじゃなくてナチと一緒にユダヤ人を侮辱して笑ってたオーストリアの人達も加害者だから、マリアが祖国を嫌うのも最もだわ。こういうことは日本もやってたんだろうな。
オーストリア政府との戦いも、マリアとランディとの関係も、苦難がいっぱいで、ずっと祈るような気持ちで釘付けでした。2人が戦う腹立つお偉いさんたちも、2人をサポートする人達もみんないいキャラしてます。
画そのものについての詳細な魅力が紹介されなかったので、ちょっとそこが残念?かな?
是非映画館で見てください!
クリムト
戦争映画でないナチスやユダヤ人迫害をエッセンスに入れた映画多いですね。最近の世界情勢に漠然とした危機を感じているから余計に映画の中に過去の現実を見る思いがしました。ただただ美しくて哀しげと思っていたクリムトの絵にこんな真実があったなんて、この裁判が行われていた時代に生きていながら知りませんでした。もう一度見たい映画です。
絵の中の人生
マリアが、そしてマリアの姉が取り戻したかったのは、絵というよりはその絵の中にあった生活、家族、人生だった。
マリアがずっとオーストリアには戻らず、ドイツ語も封印して生きてきたから、過去を取り戻す事は過去(ウィーン)に連れ戻され、両親を見捨てた自分に向き合う事だった。
ウィーンの壮麗な建物が、その負の歴史を感じるととても重く、権威的に見えた。カリフォルニアとは対照的で時間と距離、歴史の違いを感じた。
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