劇場公開日 2015年11月27日

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「絵が欲しいのか金が欲しいのかわからんけど」黄金のアデーレ 名画の帰還 つとみさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0絵が欲しいのか金が欲しいのかわからんけど

2024年1月6日
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鑑賞方法:DVD/BD

現在のマリアが法廷闘争を繰り広げながら過去を回想するようにオーストリア在住当時を場面場面で見せていくやり方や、全体的なスリリングさ、ランディとマリアの友情のような絆、親子の絆、祖国についてなどのストーリーの部分、ぐちゃぐちゃになりそうな詰め込み気味のボリュームにもかかわらずスッキリとまとまっていた。
ランディが絵画の返還に熱をあげていく過程が少々弱かったけれど、それほど気になるものでもない。
つまり、ほとんど文句の付けようがないほどに良い作品だったし、面白かったのだが・・・

実話を元に作られているということで、ついつい、表面に見えているストーリーだけではなく、その下に眠っている別の物語について考えてしまうのである。具体的には、ユダヤ人の祖国についてと、アメリカという国についてだ。
他にもレビューに書いている方がいたが、政府の関与とか、そういった意味ではなくアメリカという国が、アメリカの国民性が、オーストリアから絵画を強奪したように見えてしまう。そう感じてしまう。
この物語ではマリアのアメリカ人としての国民性ということになる。彼女の新しい祖国アメリカ。その前の祖国は父親が移住してきたオーストリア。その前は・・・と、最初に書いたユダヤ人の祖国についてに繋がる。
映画の内容とあまりにかけはなれるので細かく書くつもりはないが、要は、スゴい美談のように作られている作品だったけど、目を凝らしてよく見たり、ちょっと考えてみると、ものすごくモヤモヤとした黒いものの存在を感じて複雑な気持ちになるんだよね。
それでも、余計な事を考えなければ面白かったし、余計な事を考えてもある意味面白かったので、やっぱり映画としては良作なんだな。

演技面では、ヘレン・ミレンは安定して良かったし、ランディを演じたライアン・レイノルズも頑張ってた。少なくとも、少年と揶揄されるだけのピュアさや頼りなさげな感じはとても良かったと思うよ。演技じゃなくて単なる素である可能性もあるけどさ。

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つとみ