「古代エジプトは傲慢神々とへなちょこ人間のお遊びアトラクション世界」キング・オブ・エジプト 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
古代エジプトは傲慢神々とへなちょこ人間のお遊びアトラクション世界
日本のSF・ファンタジー作品はハリウッドと比べると遥かに劣化で、演技力ゼロ、顔だけ満点のアイドル俳優が主役を張り、中身はペラッペラ、アクションもCGもチープとよく言われるが(言い過ぎか!?)、ハリウッドだってたまにはやっちまう。
今、国内に氾濫している低質のコミック実写とほぼ同レベル。
予告編を見た時から地雷臭プンプンしてたが、大当たり。ある意味、イメージ通りの見事な予告編!
神話ファンタジー×古代エジプト×スペクタクルなアドベンチャー。
胸踊る活劇になれる題材を、よくぞここまで中学生が好みそうな内容に薄めたもんだ。
漫画の世界ならまだしも、3Dアトラクション向けの映像世界。
やたらと飛び出す映像を意識したCGは何処かの遊園地のアトラクションで3Dで見る分には最適だろうが、これを物語性のある映画として見るにはあまりにお粗末過ぎる。
主人公の青年は無鉄砲なだけのへなちょこチャラ男、神々にはまるで威厳ナシ、悪役は画に描いたようなステレオタイプ、スケールや迫力はそれなりにはあるが神々の世界なのに荘厳さも神秘性も感じられない。ただピカッピカ、キラッキラの成金世界。
ツッコミ所、ご都合主義、失笑続出の設定・展開。
古代エジプトなのに神々も人間も全員白人、史実無視はハリウッド映画だから当たり前のルールとして、
まず、始まって暫く、神々と人間たちが共存している世界とは知らなかった。端から見れば、単なる王族と民って感じ。傷口から流れる血が金色で、突然ロボッ…いや、本来の姿の神に変化して、あ、こいつら、人間じゃないんだ、と初めて気付いた。(最も、冒頭でナレで説明はあった筈だが、集中して見ていなかった自分が悪いだけで…)
邪神セトによって父王を殺され、王座も眼も奪われたホルスは身を隠す。が、ただの人間の青年にあっさり居場所が見つかる。しかも、エジプト一の建築技術士が様々なトラップを仕掛けた宝庫からホルスの眼を盗んで。
ホルスは祖父である宇宙の神ラーの元に赴くが、古代エジプト世界に違和感ありまくりのう、宇宙船…!? お祖父様だけ近代的。
ベックとザヤは美男美女の人間カップル。でも、仕事中もこっそり会ってイチャイチャするバ○ップル。奴隷の筈の彼女、「SW・EP1」のアナキン並みに苦労を微塵も感じない。
美女に見つめられて大人しくなる(凶暴な)巨大コブラ、謎々大好きスフィンクス…。
クライマックスは世界の終わり級の危機なのに全くハラハラドキドキしないのはまあいいとして、猛威を振るってた割りにそれほど脅威を感じないセト。
そしてラストは神様のくせにかなり自分勝手なめでたしめでたし。
見終わって思うとタイトルは原題の方こそ正しいが、やっぱりこの神様を崇める気にはなれない。
ジェラルド・バトラー、ジェフリー・ラッシュらビッグネームが…。
監督アレックス・プロヤスも「ダークシティ」「アイ、ロボット」でセンスを感じていたのだが…。
露な胸の谷間が豊満だったコートニー・イートンの可愛さだけ拾い物。
劇場公開時からタレント吹替が散々叩かれてたが、
敢えて吹替で見てやったぜ~。
ワイルドだろ~。