「俳優さんはいいと思うのだけど」ディーン、君がいた瞬間(とき) Awareさんの映画レビュー(感想・評価)
俳優さんはいいと思うのだけど
ジェームス・ディーン(=ジミー、デイン・デハーン)と、彼を撮影したカメラマン、デニス・ストック(ロバート・パティンソン)との交流を描いた映画。ちょうど「エデンの東」公開前後の時期で、ディーンが自動車事故でこの世を去る数か月前のことだ。デハーンよりも、ロバート・パティンソンのほうが主役っぽかったように思う。(最後のクレジットでもパティンソンのほうが先に名前が出た)
ストーリーにおいては全体的にまったりしていて盛り上がりに欠け、どこに注目して観ればいいのかいまひとつ分かりにくかった。知名度が上がるにしたがって自由を奪われ、望郷の念を強くするジミーと、仕事も別れた妻子との関係もうまく行かず悩むデニス……という背景だったと思うんだけども、それぞれの悩みや孤独感が、頭では理解できるがなぜかそれほど胸に迫ってこなかった。なんでだろう、脚本のせいなのかなあ。どこが一番盛り上がってるシーンなのか、よく分かんないまま終わった感じ。
それでも、映像が良かったので最後まで楽しめた。さすが写真家でもある監督の作品なだけあって、どのシーンをとっても構図がびしっと決まっていて、とてもさまになっていた。
私はディーンのことをそれほど知らないし(若くして事故死したすごい映画スター、ぐらいの知識)、顔は分かるが出演作はまったく観たことがないという状態で観た。デハーンはディーンとまるで似ていないのに、ところどころ目つきがディーンに似ていると思った。しかし、観ていて「この人がジェームス・ディーンなんだ」とはっきり印象付けられるような場面はなく、最後まで「ディーン役のデハーン」以上には思えなかった。
ロバート・パティンソンは知的で小奇麗で、17で女を妊娠させるようなやつにはとても見えなかったけど、変なクスリでハイになってめっちゃ語りまくるシーンは実によかった。
あとジョエル・エドガートンの渋い声がかっこよかった。ああいう理解のある上司いいなあ。
やたらとコンガを持ち歩くディーンには、ちょっと笑ってしまった。