「ディズニー仕立てのゾンビ映画」高慢と偏見とゾンビ bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
ディズニー仕立てのゾンビ映画
タイトルからして、どこかで聞いたことのある小説に似ていると思ったところ、やはりジェーン・オースティンの恋愛小説『高慢と偏見』をモジった作品と言うことだ。そこに何と、ゾンビを出現させてしまうのだから、オースティンも、自分の作品に、まさかゾンビが登場するとは思っていなかったであろう。それに、これまでのゾンビ映画は、近未来的なシチュエーションで展開されていたが、本作は、中世イングランドのロンドンが舞台で、丁度、嘗てのイングランドとスコットランドの戦闘の様な設定も、面白いシチュエーションとなっていた。
確かに気味悪い形相のゾンビ軍団も数多く登場し、本作がホラー作品ではあることは間違いない。しかし、内容的には、あまり怖さはなく、むしろゾンビに立ち向かう男女の『高慢と偏見』に満ちたラブ・ストーリーが中心となっている。ディズニー作品でよくある、ヴィランが登場する、アニメ映画の実写版の様な作品の様な感じ。実際、主役の2人である、エリザベス役のリリージェイムスは『シンデレラ』で、ダーシー役のサム・ライリーは『マレフィセント』で主役級を演じていた。
噛みつかれると、人の脳みそを喰い求めて彷徨う、凶暴なゾンビへと変貌してしまう、謎のウイルスが蔓延した18世紀のロンドンが舞台。ゾンビの襲撃に備えて、周りを高い塀に囲まれた安全な田舎に暮らしていたベネット家の5人の姉妹。ゾンビ襲撃のその時に備えて、カンフーの腕を磨く一方で、素適な王子様との出会いを夢見ていた。そんな時、大富豪のビングリー家が引っ越してきて、晩餐会の中で、ビングリーと友人のゾンビ退治剣士・ダーシーとも顔見知りとなる。
若き花婿候補に色めき立つ姉妹だったが、その中でエリザベスだけは、ダーシーの『高慢』な態度を毛嫌いしていた。そんな折、ロンドンのゾンビ軍団が、怒涛を汲んで人々に襲い掛かって来る。ゾンビ退治のダーシーは最前線で奮闘する中、エリザベスもまた、その戦闘の中に巻き込まれていく。そして、そこで初めて、2人が互いに抱いていた『偏見』に気が付くのだが…
ラストは、よくある様なハッピーエンドのシーンが映し出され、「やっぱりディズニー作品じゃん」と確信した(笑)あまり話題にはならなかった作品だが、B級ながら、いろいろオリジナル性が高い、新しいタイプのゾンビ映画であった。