チャイルド44 森に消えた子供たちのレビュー・感想・評価
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ネタがてんこ盛り過ぎる
物語の概略だけ読むと、猟奇的連続殺人ものかと思うが、これは物語のベースとして存在し、残酷なシーンはあまり無い
むしろスターリン体制下、「楽園」と称される共産主義社会において“連続殺人などありえない”と決めつけられ、その認識を強いられる犠牲者の両親が哀れで、それに我慢ならずに捜査に動き出す主人公に対して、反体制派ではないかとの疑いがかかる…
犯罪サスペンスというより、硬直した官僚的・隣人すら信用できない共産主義社会の中で真実を見つけ出すことの困難さがストーリーのメイン
冒頭の第二次世界大戦のベルリン攻略、反逆を疑われる獣医(から派生する農民一家のエピ)やら、主人公に嫉妬する部下やら、主人公がベタ惚れの愛妻(?)のエピやら、ネタが多すぎる
あの獣医さん可哀想だったな、病院にいた動物たち飼主に引き取られたかな…なんて粗筋には99%関係ないワンシーンが気になったまま映画は終わる(笑)
【”全体主義国家の闇”そして、その国家が1930年代初期に計画的にウクライナ地方で起こした人為的飢饉ホロドモールが産み出した哀しきモノ。現在、ロシアを統べる男に見させたい、恐ろしき作品である。】
■冒頭で少しだけ映される孤児たち。旧ソビエトがスターリン体制の中、人為的に起こしたホロドモールと呼ばれる飢饉の犠牲者である。
近年公開されたホロドモールの実態を描いた「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」を鑑賞するとその悲惨さに触れる事が出来る。
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・今作は、ロシア政府が上映を拒否した作品だそうである。
ー それはそうだろう。旧ロシア政府の恐ろしき行ないが齎したモノを描いたこの作品を上映する訳がない。-
■1953年、スターリン政権下のソ連で、列車の線路脇で、子供たちの変死体が次々と発見される。内臓の一部が切り取られ、殆どが溺死。
ところが、犯罪を認めることは国家の理想に反するとして、すべて事故扱いされる。
親友の息子の死をきっかけに真相究明に乗り出した秘密警察MGBのレオは、やがて国家からも追われることになる。
・作品の雰囲気はとても恐ろしいが、面白い。但し、冒頭に記したホロドモールの知識が無いと、犯人が抱えた狂気は分かりづらいと思う。
・レオ・デミドフを演じたトム・ハーディ、彼の妻になったライーサを演じたノオミ・ラパスは、矢張り良い。存在感抜群である。
・レオを執拗なまでに追い詰める肝っ魂は小さいが冷酷なワシーリーの存在も良い。
ー ムカつく男だが、悪役のキャラが立っている作品は面白いと思う。-
・最初は秘密警察MGBのレオを恐れて内心嫌々ながら結婚したライーサに、レオが”俺の事を未だ怪物だと思っているか”と言う問いに”違う”と答えるシーンも印象的である。
■だが、この作品はイロイロと分かりずらい部分がある。(敢えて記載はしない。)そこが少し残念かな。
<個人的には、面白く鑑賞した作品である。
作品が醸し出す”全体主義国家の闇”が巧く描かれていたと思うし、ラストのワシーリーが何の罪もないのに見せ締めのため撃ち殺した夫婦の二人の娘をレオとライーサが引き取り、新しい家族を作って行くんだなと思わせるシーンも微かな希望を感じさせる作品である。>
アンドレイ・チカチーロ
80~85点ぐらい。
面白かった!!
重厚なサスペンス。
小説が原作らしいけど原作は読んでおりません。
有名な殺人鬼アンドレイ・チカチーロがモデルになってるらしいですが、チカチーロ色は強くないです。
ソビエト時代スターリン政権下で起きた連続殺人、
“楽園に殺人は存在しない”
スターリンの言葉らしいですが、殺人も事故死で処理される国、
それに異を唱え、命を懸けて独自捜査を行う人たち。
スターリン、独裁政治、共産主義、って怖い。
ノオミ・ラパスが存在感あり、いい役者だと思いました。
終わり方が好きです。
ゾッと寒くなるほど怖い映画です
スターリンの恐怖政治がまっただ中の大戦直後ソ連で、子供の連続猟奇殺人事件が発生するが、事故で処理されていることに疑問を持ったKGB捜査官が、抹殺される恐怖を感じながら単身で真相に迫る。企業や地域でも起こりうる恨みの報復は、強権秘密組織の中で 如何に陰惨なものに変質して行くか、特定秘密保護法を許したこの国が、運用次第では恐怖政治に陥る怖さも妄想させる。監督も『デンジャラス・ラン』のスエーデン出身 若きダニエル・エスピノーサ。あの拷問シーンがトラウマとなって蘇る。
『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』(2009年)のノオミ・ラパス(スエーデン生 35歳)が スターリン下の秘密警察官の妻として 明日のない絶望の罠に陥った役を好演するサスペンスミステリー。
逆境だらけの犯人追跡サスペンス
基本的に子供たちの大量殺人事件の謎を追っていくのが、話の主軸ですが…
”殺人事件は国家の理念に反するからと、事故として処理されてしまう”当時のソ連。
そんな状況下、主人公は殺人事件を追っていく。
「これは殺人事件です」って言うだけで反逆者扱いされるし…
あらゆる逆境の中、犯人に迫っていく展開にハラハラします。
看板に偽り有り、雰囲気だけのもの
題名の子供殺人事件のミステリーはほとんどありません。
スターリンのことは原作にもないし、リアリティは皆無です。
ああ、悲惨だ、残酷だ、そう見せるのですが、リアル皆無なので。
演技はうまそうです。
伝えたいことはなんとなくわかるが。
サスペンスというより旧ソビエト時代の暗黒面をプロパガンダした映画という印象。
物語序盤でおそらくそっち系の映画だろうとシフトして鑑賞したため面白く観ることはできた。ただ奥さんの心情はわからんでもないが、ちょっと人間味が出過ぎていて感情移入しづらかった。
あと最後の泥仕合はあまりにも泥んこ過ぎて一瞬誰が誰だかわからん状態に。
またリアリティの境界線が難しい部分もあった。
親友が簡単に殺されるシーン。
全てが露見し左遷される元上司。
いまいち組織が機能しているのかしていないのかよくわからなかった。
不幸要素天こ盛り
散漫。
不幸要素天こ盛りで、最も不要な挿話が題の事件という愚。
本作も「ゾディアック」も、寧ろ素っ頓狂な風刺の「殺人の追憶」に勝てず。
不正、不倫、着服、失言と、日替りで生贄を探すアメリカンな世が良いか?とも。
事件と主人公への関連付けが下手。
自ら所属する秘密警察に奥さんをスパイ容疑に掛けられて奈落の底に追い詰められた主人公レオが子供連続殺人事件の真相を追う。
まぁ、自分らの子供が関与しておらず、所属先に反して何故そこまで途中から事件に拘るのか意味不明な主人公夫婦ではあるが、ソ連社会情勢を踏まえたミステリーなので面白味は感じる。
しかし、シナリオがお馬鹿。
レオが個人的に最初から殺人事件を追っているのであれば国家バンザイ秘密警察の理由も分かるが、国家バンザイ秘密警察が先に動いた(依頼した)事でレオも動かざる得なくなり殺人事件に関与してるよね?
事件を導いちゃってるよね?コレ💦
「出る杭(国家の方針に邪魔になりそうな奴は)は出る前に打て‼️」なのか分からないが、国家バンザイ秘密警察(将軍と部下)がお馬鹿で、この映画内ではそんな事を考えれるとは思えない訳で、、、。
ラストも意味不明な事件の犯人とその動機。
お馬鹿な国家バンザイお馬鹿秘密警察官とのラストバトル。
「楽園(国家)に殺人は存在しない」なんて言ってる国家が馬鹿なのか?
こじつけ理由にて仕事を増やしている秘密警察が馬鹿なのか?
最後に思うのは
「庇った奥さんが凄く役に立った‼️」
夫婦の絆だけは良い。
タイトルなし
要素を盛り込みすぎた感あり。スターリン時代の楽園に殺人は存在しないと言う統制化で部下の子供の死因を事故としなければならない。妻にスパイ容疑が掛けられ、身分も田舎の警察に貶められる。あまりにも恐怖政治で、反逆はすぐ死に繋がる。そんな中、何年にも亘って起きている沿線での少年殺人事件。トム・ハーディが何故体制側から命の危険を冒してまで殺人事件の捜査に動くのか描かれてない。もう少し出てほしかったゲーリー・オールドマンも。呆気なく殺された猟奇的殺人犯より恐怖政治の方が怖いし、殺人犯と同じ孤児と言われてもピンとこないし、子供の死因の関連もよくわからなかった。トム・ハーディの朴訥とした演技はハマり役。
映画だけの話と思いたい
ミステリーなのに、結末よりも、犯人よりも、
それを取り巻く「設定」に恐れを感じるなど
そうそうない。
しかもそれが、「設定」ではなく、
本当に起きた事実。
よく映画化してくれたなと思う。
そうでなければ一生知らずに生きてた。
個人的には
トム・ハーディが大好きなので、
厳しさの中に温もりがある、1番光る役どころなのが
とても嬉しかった。
ゲイリー・オールドマンはロシア訛りを拒否したのかな…
ナオミ・ラパスの悲壮感もよかった。
浮かれた気分じゃないときに是非。
罪深くも、償える。偽りではない楽園で
スターリン政権下の旧ソ連で実際に起きた、子供ばかり狙った連続猟奇殺人事件。殺された子供の人数は、タイトルに記されている通り、44人。
犯人逮捕に奔走したKGB捜査官。
じっくりタイプのサスペンス・ミステリーで、見応えあったが、最初はなかなか入り込めないでいた。
と言うのも、当時の旧ソ連の背景に詳しくないから。ホントいつもながら勉強不足でおバカな私…。
でも、それを分かった上で見ると、より一層話にズシンと響くものがある。
20世紀最大の悲劇の一つと言われる“ホロドモール大飢饉”により、多くの子供たちが孤児に。
主人公もその一人。軍人に保護され、“レオ”と名付けられる。
成長し、戦争の英雄に。
良く言えば国に恩と忠誠を、悪く言えば国の犬に…。
当時のこの国に於いて、資本主義の敵は許されない。疑いを掛けられた者は問答無用で摘発。レオもその任に当たる。
ある農夫一家を摘発。が、その時、部下が子供の目の前で両親を銃殺。
レオは部下を激しく叱咤。これにより、部下の恨みを買う。
上司から新たな任。疑い掛かった相手は、何と妻のライーサ。
信じたくないレオ。激しく葛藤。告発するか、妻を守るか。
レオが選んだのは…。
国に背いた者の処分は言うまでもない。自分も妻も命は免れたものの、降格と地方左遷。
さらに衝撃の事実。妻は裏切り者でも何でも無かった。
レオは国に忠誠を誓えるかのテスト。
その罠にまんまとハマってしまったのだ。
彼を罠にハメたのは…。
贅沢なモスクワ時代が夢幻だったかのような地方の底辺暮らし。
しかしここで、モスクワでも起きた同様手口の事件と再び鉢合う。
線路上で何者かに殺された子供。
モスクワ時代で殺された子供は、戦友にして親友の子供。レオは名付け親。
さすがに胸が痛いレオだが、それを“殺人”ではなく“事故”として親友に報告。明らかな不審な点があるにも拘わらず。
何故なら、国がそう命じたから。
この楽園に於いて、殺人など存在しない。
国の抑圧は人の命すら闇の中に…。
ここ地方でも…。
実際の事件を基にしたノンフィクションだが、脚色やフィクションもかなりあるだろう。
犯人逮捕と事件解明に身を入れるが、国がその前に立ち塞がる。
今度は自分がKGBから追われる身。アクションも交え。
執拗で執念深い元部下との因縁。
妻との関係。ある時妻から打ち明けられた結婚を決めた秘密は、かなりのショック。当時、KGBがどんなに怖れられていたのか窺い知れる。
トム・ハーディとノオミ・ラパスのゴツい2人でロマンチックなムードは出せないが、サスペンスは合う2人。
ゲーリー・オールドマン、ジョエル・キナマン、ヴァンサン・カッセルら重厚アンサンブル。
最初はちと小難しかったが、事件に本腰入れるようになってから次第に面白くなってくる。
勿論サスペンスやミステリーのムードは充分だが、邦副題の“森に消えた子供たち”は的外れ。だって、殺された子供たちは線路上で見つかってるし。
中盤でびっくりするくらい犯人も明かされる。その末路も。まあ、未解決事件じゃないから仕方ないのかもしれないが、恐らく作品の真のテーマは別にある。
当時の旧ソ連という国の実態。
そして、その国の犬だった男の変化。
実はレオは子供に対しては温情ある。
自分がかつて孤児だったから。
元部下が両親を殺した子供へ悔やみも。
モスクワでも地方でも同じ。いい加減な捜査、でっち上げの犯人…。
犯人は未だ野放し。
子供たちが犠牲になり続けている。
二度と悲しみ苦しむ子供たちを出したくない。
今日本ではコロナや九州大豪雨が連日報じられているが、その前は殺人事件や子供虐待。
朝からそんなニュースを聞くのは気が滅入るが、それを報じれる国は悪い国では無い(と、池上彰氏は言う)。
報道や訴えの声の自由があるから。
寧ろ、報じもせず、隠す国の方こそ…。
当時の旧ソ連も、いや、今の日本や世界各国だって、楽園とは呼べない。
偽りの楽園で犯した罪の数々。
その償いを…。
レオとライーサとあの二人の孤児に楽園が訪れる日は…。
タイトルに??
子供の失踪事件を追うミステリーと書いてあったのでレンタルしたが、、、
タイトルや広告文句に疑問。
スターリン政権下の独裁社会が大きな題材であり、本質で
国民全員が幸せであるはずの国家に殺人事件などあろうはずがないという、時代があったという記録でもありとても深いものなのに。
もったいないなぁ。
原作の空気感が全く無くなったら、作品の魅力は90%オフ(T_T)
何年か前に原作を読んだ時の衝撃は忘れられない。
人肉食をせざる負えないぐらい飢餓状態の幼少期、
周りが一切信用できない秘密警察、
微妙な両親(?)や妻との関係、
田舎への左遷、
強制収容所送りへの恐怖、
当時のソ連社会の閉塞感、圧迫感、不条理さが描かれ、
その空気感の中での殺人事件&内部謀略ということで、
緊張感がハンパなかった。
そうした期待の上で本作鑑賞。
ハッキリ言って期待はずれ。
キャストは豪華。トムハーディー、ノウミラパス、ゲイリーオールドマン、ジョエルキナマン‥
だが、まず、オールドマンの無駄遣い。
活躍の場も少ないし、彼のような大物の意味なし。
正直誰でも良かった。
殺人犯を探すサスペンスとしてイマイチ。
呆気なく、工場で該当者が見つかり、さらに本人が目の前に現れる、って謎解きもなく、タナボタじゃん。
あと主人公をハメた同僚の描き方については、主人公との対立だけでなく、妻を口説いたり、バレバレでしょ。
もうちょい「別の奴がハメた犯人かも?」って観客をミスリードするような「寄り道」をしてくれよ。
続編前提の作品(原作は3部作)だが、本作で終了は間違いないだろう。
近年多い、続編前提だったが、売れずに、一作で終了した映画という、
死屍累々に新たな作品が加わった。
最終的にもはや誰が悪者なのか混沌としてくる展開。そして自分が殺した...
最終的にもはや誰が悪者なのか混沌としてくる展開。そして自分が殺した人たちの子供を引き取るラスト、ハッピーエンドで良かったねと単純に喜べない。この子たちもまた生きるために必要な選択をするというだけなのかもと考えさせられる作品。
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