「上質な”普通”のアニメーション」リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード ヨックモックさんの映画レビュー(感想・評価)
上質な”普通”のアニメーション
普通なのだ。 シナリオや舞台設定、演出に別段斬新なものはない。どっかで観たことある感じ。小学生向けの別段、名作とはやし立てるほどもない無難なアニメ。乱暴に印象をまとめると、そんな感じかもしれない。
しかし、そのアニメとしての「普通」さが、いまの日本のアニメ界の中でいかに貴重で素晴らしいものか。 アニメーションに“備わっていて欲しい要素”を当然のように兼ね備えている。「当たり前でしょ?アニメなんだから。これくらい」そんな感じで非常にハイレベルなことを、平然と、普通っぽくこなしてる。
アニメーションのキモであるダイナミックな構図、デフォルトされたキャラクターがめいっぱいに動いて表現する感情。実写映画にも、漫画にも、小説にも絶対に真似できない、アニメだからこそできること。 それをどの要素でも丁寧にやりきっている。 どのキャラクターも可愛らしくよく動く、場面ごとの心情が絵全体から伝わってくる。大島ミチルの音楽や効果音も素晴らしい。
舞台設定も、おそらく現代のイギリスを舞台にしており、魔法というものが無理なく現代社会に溶け込んでいるさりげない小物の効いた様子も、ハリー・ポッターや、最近の日本のJRPG崩れのエセファンタジーとはまた違ったこだわりを感じられて良い感じだ。
こんなに楽しい「普通の楽しいアニメーション」が実はもう本当に貴重なものだとわかって、映画を観たあとに少ししんみりしてしまった。
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