「大人の鑑賞には耐えない」テラフォーマーズ アラカンさんの映画レビュー(感想・評価)
大人の鑑賞には耐えない
これまたコミックの実写映画化である。コミックは未読である。アイデアは面白いと思うが,実写映画化は進撃の巨人より酷い出来であったと思う。
CG が大半で,その出来はハリウッドものに比肩しうるものだと思うが,実写部分のスタジオ撮影の部分が目を覆いたくなるほど酷かった。500 年ほど未来の話なのだが,最初に出て来たパトカーを見た瞬間,地雷を踏んだことを確信してしまった。結局,その確信が揺らぐことはなかった。簡単に言えば,少し金をかけて CG を丁寧に作った虫レンジャーとでも言えばいいのか,あるいは昆虫版の「魁!男塾」とでも言えばいいだろうか。とにかく,大の大人の鑑賞に堪えるものではなかった。誰が監督したのかと思えば,またしても三池崇史であった。この監督の作品で面白いと思ったことがないので,そのサンプルがまた増えただけであった。
脚本がまず酷い。夥しくいる原作のキャラの中から厳選したにしては,ショボ過ぎるメンバーである。中には変身シーンさえ見せずに死亡するキャラなどがいたのには,脱力感しかなかった。また,火星に到着してクルーが外に出る前に敵の正体を教えないというのは,一体どういう趣向なのだろうか?全く理屈が通らないと思った。それに,火星上を移動するだけであんなにダメージを受けてしまうようでは,ハナっからこんな計画は無理だったのではという感じがした。ハッキリ言って,この映画の脚本は,昭和 50 年代のテレビのヒーローものより出来が悪いと思った。
役者はピンキリであったが,ジャニの山下や元 AKB の篠田が出演していたり,クレジットの留め(最後に名前が出て来る俳優)が小栗旬というのを見ても俳優陣に実力が足りないことは明白であった。菊地凛子までが出ていたが,出るべき映画を間違えていたとしか思えない。音楽は長年三池監督作には定番の遠藤浩二であったが,特に耳に残るような曲はなかった。
演出は,良くこれで OK 出したものだというシーンの連続で,よほど時間や予算が限られていたのか,目を覆いたくなるほどであった。こういう仕事ばかりしていると,監督としての評価が落ちるだけではないのかと,他人事ながら心配になるほどであった。繰り返しになるが,大の大人が見に行くべき映画ではない。アイアムアヒーローの監督がこの人でなくて良かったと思うばかりである。
(映像3+脚本1+役者3+音楽2+演出1)×4= 40 点。