「結構楽しめました。しかし・・・」テラフォーマーズ ヤマモトさんの映画レビュー(感想・評価)
結構楽しめました。しかし・・・
評価って事前の期待がかなり影響しますよね。
私はこの映画、きっとつまらないできなんだろうなあと思っていたのですよ。
何故かと言うと、予告編を見ていてなんだかチープだなあと思ったからなんですよね。たいていこういうのは駄作が多いです。
ところが観てみたら、なんだかあまり気にならない。かなり楽しめました。
ちゃんとテラフォーマーズやってるなあって。
内容は原作の1巻部分のみ。バグズ2号で小吉や奈々緒が火星に行った話ですね。原作1巻部分と少ないことで、尺の短い映画でもきちんと描けていたと思います。
暗殺教室はヒドかったですからねえ・・・
もちろん映画ならではの設定の違いは大小ありますが、かなり原作寄りに作られてました。良くも悪くも。
評価については4にしようか迷いましたが3.5にします。
映画を観た直後は4でいいと思ったんですけどね。後から考えるとだんだん不満な点が湧いてきて・・・(笑)
では良かったところから。
・原作に割と忠実
原作レイプな作品が多いですが、この映画はきちんと原作のスジを追ってます。
いくつか設定は変更されていますが、破綻していないのは原作に忠実だったからかな?と思います。
・豪華キャスト
日本人だけですけど、キャストはなかなか豪華ですよね。
本多博士役の小栗旬の演技は良かったなあ。
・虫の説明
バグズ手術でそれぞれの虫の能力をクルーは得ている訳ですが、これらの説明を原作でもあるようにきちんとやってます。ギャグ混じりですが。
なかなか良かったですよ。かっこいいし。面白かった。
次に悪かったところ。
・何故日本人だけ?
最も大きな改変部分はここでしょう。それなりに日本人だけである理由の説明はありましたけど、やはりこれだけ大きなプロジェクトであるテラフォーミング計画の重要ミッションに日本人だけが行くのはおかしいです。
低予算だから仕方無いのかなあとも思ったのですが、キャストは豪華ですし、なんだかいきなり出演者に英語やロシア語をしゃべらせたりしてました。字幕を使って。
なんでなんで? そんなこと出来るくらいなら最初っから原作通りに各国代表を出せばいいのに。よく分かりません。
・何故奈々緒があいつを殺したのか?
原作では奈々緒が殺したのは義父でしたが、今作では義父では無いっぽいです。単なるチンピラ? 奈々緒に売春させている担当者のようでした。
奈々緒に対して暴力をふるうシーンを見て小吉が止めに入ります。チンピラはナイフを出して小吉に斬りかかりますが、空手の達人である小吉にはまったく通じません。ナイフを叩き落としました。
そこで奈々緒がいきなり背後からチンピラをブスっとひと突き・・・ん~~??
なんでここでいきなり奈々緒はチンピラを刺しちゃうの?? 小吉が殺されそうになっているならともかく、余裕で抑えつけてる状況でした。
そんなに売春が苦痛だったのかなあ? 積もり積もった恨みが炸裂したの? だったらそれが分かる描写を見せておいてくれないとねえ。
あまりにも唐突な奈々緒の殺人劇にちょっとぽかーんとしました。
その後の小吉の行動もちょっと引きました(笑)
・チープなCG、昆虫変身形態
最初から気にはなっていました。予告編を見たので。
ゴキブリと昆虫変身したクルーの戦いは、当然ながらCGを多用するのですが、なんだか作りがチープかなって。もう少しだけきっちり綺麗に作ってくれればいいのですが。戦闘シーンが気になりました。日本映画のCGってこんなもんでしたっけ?
また、昆虫形態に変身したときがどうも・・・。なんというか、張りぼて感? リアルじゃ無いんですよね・・・。作り物っぽくて。もっと完全にCGにしたら良かったんじゃないですかね?
・グロさが足りない
私はグロいのが好きです(笑)
原作は十分にグロいので大好きなんですが、この映画はR指定も付いてません。まあ安心して観られるってことですねえ。
私にはそれが少し物足りませんでした。もうちょっとグロくても良かったのに・・・。まあこれは個人的嗜好ですね。
頭を潰されたり首が飛んだり腕がちぎられる程度のシーンはありますが、おとなしい感じですね。
・また粉塵爆発かっ!?
映画暗殺教室でも登場した粉塵爆発。この映画でもクライマックスで使用されてました。
粉塵爆発が便利なツールだというのは分かるのですが、暗殺教室でもこの映画でもちょっと無理があるかなあって思うんですよね。
この映画は密閉空間では無い、外で粉塵爆発を起こしてます。奈々緒の鱗粉により。
この条件であれだけの大爆発を起こすなんて現実的には不可能だと思うんですよね。ちょっと調べましたけど、粉塵爆発にはかなりの粉塵密度が必要なようです。
密閉されていないオープンな空間で粉塵爆発を起こすためにはあり得ないくらい大量の粉塵を用意しなければいけないと思いますが、奈々緒一人でねえ・・?
うーん、まあその辺は奈々緒が特別ものすごい能力を持っていたってことですかねえ?
ああ、単なる鱗粉では無く、可燃性の物質を撒いていた可能性もありますね。
奈々緒の手術ベースはクモイトカイコガですが、そんな可燃性の物質を精製する能力が・・・。
まあいいか・・・
・細かいところが甘い
いろいろあるんですが、例えば初期のゴキブリの襲来でゴッドリーが単身で撃退に向かうのですが、クルー達が「あいつなら勝つぜ」「ああ、楽勝だ」とか言うんですよ。
なんという分かりやすいフラグ・・・。原作通りあっさりゴッドリーはゴキブリに殺されてしまいます。
どっちらけだなーと思いました。もしかして原作通りだったっけ?と思って調べてみましたが、やはり原作ではそんなフラグは無かったです。
なんなんですかね? 映画の観客をナメてるんですかね?
他にも、車でゴキブリの群れを突っ切るときに手塚がメダカハネカクシの能力でジェット噴射のごとくガスを噴射するシーンがあります。これは原作通り。(原作ではその後すぐ死亡)
映画ではそのまま長く車の動力として噴射し続けるます。そのときの体勢なんですが、車の上にちょっと乗って両手で左右のバーをつかんでる、ってだけなんですよねえ。固定が甘いよなー。
あんなデカい車を動かそうと言うのですから、あんな程度の固定では吹っ飛ぶでしょ?
とかですね、いろいろあるのですよ。なんだかちょっとだけおかしいところ。
そう言うのって見る人が見ればすぐ分かるようなことだと思うんですが、何故か修正されずにそのまま作品に入り込んでしまう。こういうところがちょっとイマイチかなあと思います。
総合的に見て、面白い方だと思いました。いろいろ気になるところがあるのはどんな映画も同じこと。
観て損は無い、特に原作を知らない人にとっては斬新な設定のこの話を楽しめそうです。
テラフォーマーズ好きにもいいんじゃ無いですかね? 原作と何が違うか比較して観るのも楽しみの一つですよね。
オススメしても罪にはならない、くらいの評価に致します。
続編を作れるような終わり方になってます。どうでしょうねえ。この作品の評価、結果次第でしょうか。
続編を作るならもうちょっとなんとかして欲しいですね。また日本人だけってのは無しにして欲しいです。
ま、私はどっちみち観に行ってしまうことでしょう。
お願いですから今回の興行成績が良かったとしても慢心せずに、次はもっと高度なヤツをお願いいたします。