劇場公開日 2015年10月24日

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「SFセンスの無い奴がSFやったって上手くいく訳ない」ギャラクシー街道 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

1.5SFセンスの無い奴がSFやったって上手くいく訳ない

2015年10月26日
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鑑賞方法:映画館

単純

三谷幸喜監督最新作は、登場人物全員宇宙人!
寂れたスペースロード“ギャラクシー街道”沿いにあるハンバーガーショップで繰り広げられるスペース・ロマンチック・コメディ。

三谷監督作品は好きだ。
笑わせてくれるし、見た後の満足度も高い。
前作「清須会議」は世間一般の人気は今一つだったが、ただゲラゲラ笑いだけじゃなく、どっしりとした時代劇の風格も感じさせ、個人的には三谷監督作品でも特に気に入った。(そもそも三谷は時代劇好きでこれまでにも時代劇は手掛けているし、面白いのは当然の結果であった)
続く新作のジャンルとして挑んだのは意表を突くSF、だったのだが…

何だか予告編を見た時から微妙な印象を拭い切れず、実際見てそれは確信に至った。
何故、SFなのだ? 何故、SFに手を出した?
三谷はとあるインタビューで、普通に田舎のハンバーガーショップを舞台にしてもありきたりで面白くない、と言っていたが…、いや、待て待て待て! その方がずっと面白かったと思うぞ。
片田舎の寂れたハンバーガーショップに集う一癖も二癖もある訳ありの登場人物たち。
アメリカチックな舞台設定も「ザ・マジックアワー」で例がある事だし、いいぞ、こっちの方が面白そう。むしろ、三谷っぽい。
意表を突くSFが売りだが、SFである設定を活かせず、売りの筈がかえってそれが魅力を損なわしている。
SFにする必要は無かったのだ。

笑える場面もあるにはあった。
遠藤憲一のボンデージ姿と出産、子供たち(笑)
でもこれは、この人のお陰。
後強いて言うなら、宇宙警備隊の三角関係とキャプテン・ソックス。
それ以外は…。
群像劇スタイルの話も退屈。笑いはダダ滑り。
三谷ってこんなに品の無い笑いを作る人だったっけ?
見た後何も残らず、一体何をしたかったのか。
これじゃあただのコント。
豪華キャストの無駄遣い。
綾瀬はるかもせっかく「海街diary」で名演を見せたのに…。

タイトルから分かる通り、三谷が大好きな「ギャラクシー・クエスト」のような邦画にはなかなか無いSFコメディにしたかったのだろう。
ひょっとしたら、今年は「SW」も公開されるし、昨今大ブームのアメコミ映画に触発されたのかもしれない。
例えば、アクション派の監督がヒューマン・ドラマを撮ったり、その逆だったり、思わぬ効果を生む事がある。
だけど今回に関してはハッキリ言える。
SFセンスの無い奴がSFやったって上手くいく訳ない。

近大