劇場公開日 2015年11月21日

  • 予告編を見る

「犬好きには悲しすぎる。人間のエゴが露わになる、異色の動物映画。」ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲(ラプソディ) 映画コーディネーター・門倉カドさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0犬好きには悲しすぎる。人間のエゴが露わになる、異色の動物映画。

2015年11月30日
PCから投稿

悲しい

怖い

難しい

【賛否両論チェック】
賛:虐げられる犬の姿を通して、人間の醜さや身勝手さが次々と浮き彫りになり、胸が痛む。犬達の名演にも思わず脱帽。
否:犬好きにはキツいシーンも多い。カメラが始終ブレるので、若干の観づらさがある。パーティーのシーンは、画面が点滅して目がチカチカしそう。

 1頭の犬の健気な姿を通して、人間の強欲で醜い一面が、次々と描かれていきます。保護施設の職員から助けてくれたはずの浮浪者が、実は自分のことしか考えておらず、ハーゲンをお金と引き換えに売り飛ばしてしまったり、保護施設の女性職員が、
「犬の処分はしていない。」
と言っていたのに、実際は犬の見た目で処分する犬を決めて指示していたり、人間のエゴがこれでもかと表現されています。そうした人間達に虐げられていくうちに、次第に変わっていってしまうハーゲンの姿が、とても痛々しく映ります。
 非常に重たいテーマの本作ですが、思わずそんな気持ちになってしまうのも、ハーゲンを始めとする犬達の〝演技力”のたまものです。全く違和感がないというか、ふとした表情や仕草まで、細やかな感情が伝わってくるようで、まさに演技派です(笑)。犬達の渾身の名演技にも要注目です。
 決して明るいお話ではありませんが、最愛の友との絆について改めて考えさせられる、そんな作品です。グロシーンが思いのほかあるので、その点だけお気をつけ下さい。

映画コーディネーター・門倉カド