劇場公開日 2015年9月12日

  • 予告編を見る

「サイバー表現が巧かった作品。」ピエロがお前を嘲笑う Opportunity Costさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0サイバー表現が巧かった作品。

2015年6月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

兎角馬鹿っぽい見え方になり興醒めしがちな「サイバー表現」。
そのサイバー表現が巧かった。
ハッキングをする際の描写/表現は極力回避。
自身の端末が半透明になりハッキング行為を示した光がウネウネとケーブルを進み相手の端末に侵入する。
…といったダサい表現が殆ど無い点に好感が。
またハッカーが集まる専用掲示板を「寂れた地下鉄の車内」とした点も良かった。
車内で覆面達が繰り広げる遣り取りが実際の状況を理解し易かったです。

話の展開も良かった。
孤独な天才ベンジャミンが仲間という疑似家族を通じて成長する。
犯罪行為でしか承認欲求が満たされない哀しさを抱えつつ。
徐々に引き返せない所まで足を踏み出してしまう。

設定から想起される、型に嵌った話になる……と思いきや。
或る時点を境に急展開。
アレヨ、アレヨという間に話が転がり惹き込まれ。
終盤のスピーディな流れはグッときました。

惜しむらくは話の現実感。
ハッカー集団「CLAY」が然程犠牲を払わず物凄いことをポンポンやってしまう。
話の盛上りのためには必要な要素とは理解出来ますが、流石に鼻白む部分もありました。

サイバー表現の扱いが巧かった本作。

新鮮な要素もあり近年のハッカーモノの中では頭一つ抜けた作品でした。
少なくとも映画「ブラックハッカー」より遥かに面白い。
オススメです。

コメントする
Opportunity Cost