さらば あぶない刑事 : 特集
また「終わる終わる」詐欺か!? いや、今回こそ本当に「さらば」
「あぶデカ」ファンよ、いまこそタカ、ユージに劇場で言おう、
サンキュー&グッバイ!
1986年のテレビドラマ放送開始から30年、最高視聴率26%を記録した国民的ドラマの劇場版がスクリーンに帰ってくる。前作から10年ぶりとなる劇場版第7作「さらば あぶない刑事」(2016年1月30日公開)は、館ひろし、柴田恭兵、浅野温子、仲村トオルらシリーズおなじみの面々に、吉川晃司が敵役、菜々緒がヒロイン役に顔をそろえた、ファン見逃し厳禁の「完結編」だ。
■今回で“本当にラスト”だと!? ウソだろ? そうなんだろ!? タカ! ユージ!
「あぶデカ」と人生を歩んできた映画.comスタッフが、試写室で見たものとは!?
「自分の青春の1ページは『あぶない刑事』とともにあった」と断言する映画.comスタッフが、10年ぶりに帰ってきた「あぶデカ」をいち早くマスコミ試写で鑑賞。まさかの復活に興奮しながらも、「今回がラスト」という事実に居ても立ってもいられなかった彼は、スクリーンで何を目撃したのか。
「まさか!?」と耳を疑ってしまった。前作「まだまだあぶない刑事」(05)も7年ぶりの劇場版で胸踊らされたのに、今度はなんと10年ぶり! 主演の館ひろし、柴田恭兵はもう還暦越えてるぜ?と心配もしたけれど、今回はいよいよ「最終作」だというじゃないか。落ち着こうにも落ち着かない、居ても立ってもいられないとはまさにこのこと。彼らのラストダンスを見届けなければ、そしてさよならを言わせてもらわなければ!
映画が始まると目に飛び込んでくるのが、あの街・横浜の夜景の空撮映像。今どきこんな「昭和」感たっぷりのオープニングなんてないんじゃないか。ああ、あの大好きな世界に帰ってきた。そんな気分がいきなり高まってくる。さあ、ショータイムの始まりだ。
本作で描かれるのは、定年(!)を目前にしたダンディー鷹山とセクシー大下、タカ&ユージの名コンビの「最後の5日間」。横浜のブラック・マーケットを牛耳るために、中南米マフィアが乗り込んできたとなれば、こいつらが大人しくしているはずがない。「あぶデカ」史上最強の敵との命懸けの戦いが繰り広げられるのだ。だからといってシリアスになりすぎないのが「あぶデカ」が「あぶデカ」であるゆえん。タカ=館ひろしのダンディさとユージ=柴田恭兵のセクシーさ、そしてカオル=浅野温子のハイテンションはまさに全開。思い出通り、変わらない「いつも」の「あぶデカ」がそこにあったのだ。
しかし分かってるな……分かりすぎてるよと興奮したのが、タカ&ユージに立ちはだかる敵・ガルシア役として吉川晃司が出演しているところ。「あぶデカ」に夢中になった世代なら、彼の圧倒的なライブ・パフォーマンスにやられていたのは当然。ドラマ「下町ロケット」でもめちゃくちゃしびれる芝居を見せていただけに、その存在感がすごい。ステージ上でシンバルを蹴り上げる通称「シンバルキック」をアクションシーンで連発、館とのバイク対決も燃える!
そうさ、そうなんだよ、これが「あぶデカ」なんだ。「野獣死すべし」「探偵物語」ほか松田優作とのタッグ作で知られ、テレビ版と劇場版2本でのメガホンで本シリーズを育て上げてきた村川透監督ほか、シリーズを知り尽くしたスタッフが再結集。刑事ドラマのサスペンスとアクション&コメディの見事なまでの融合、愛と友情とガン&カーアクションが詰まった、大好きだった「あぶデカ」が本当に帰ってきた。これほど嬉しいことはない!
■ファンは熱狂、そして感涙! あの熱い気持ちがよみがえる!!
「あぶデカ」流のサヨナラは──「あぶデカ・あるある」のオンパレード!
映画.comスタッフが感じた「『あぶない刑事』は変わらない」という結論に相応しく、「さらば あぶない刑事」には、シリーズを踏襲した「お約束」が満載。かつて夢中になったファンなら、シリーズ作を思い出して、熱い気持ちで胸がいっぱいになるのは間違いなし。ここに、「あぶデカ・あるある」のいくつかを紹介しよう。
館ひろしといえばハーレーダビッドソン、そして「あぶデカ」と言えばハーレーに手離しでまたがったタカがぶっ放すショットガンだ。ここぞとばかりに登場するアクションシーンは、今作でも観客の心をつかむのか!?
柴田演じるユージのランニングも名物シーンのひとつ。あの名曲「RUNNING SHOT」とともに激走した姿を真似した人も多いだろう。しかしすでに柴田も還暦……今回はどうなのか? 走れるのか? 大いに気になる!
カオル役の浅野温子の存在もファンにとっては重要なポイント。恋に仕事に90年代を駆け抜けたカオルといえば、派手でスタイリッシュなファッションが印象的だったが、今回もド派手な艶姿を見せつけてくれる。
仲村トオル扮する透は前作で捜査課課長に昇進したが、タカ&ユージとの先輩・後輩関係を覆すことはできなかった。では、今回はどうなる? 透の武器調達シーンもファンにとってはお約束だが……?
故・中条静夫が演じた近藤課長がタカ&ユージを怒鳴りつける「バカモーン!!」。その台詞を引き継いでいるのはいったい誰? そして、課長秘書として、あの瞳ちゃんも健在。細部への配慮がファンには嬉しい!
タカ&ユージとともに凶悪犯たちを追い詰めたあの名刑事たち、落としのナカさん、パパももちろん登場。ただし先に定年を迎え、意外な姿でタカたちに定年後の人生を指南したりもする。
常にダンディに生きるタカの姿勢は、購読している新聞のセレクトにも表れている。手にしていたのは常に英字新聞だった。それは10年経ってもブレがないのか、そして説教を受けるシーンはあるのか?
ハーレーを駆るのがタカなら、カーアクションで魅了するのがユージ。そしてファンの記憶に鮮明に残っているのは、ゴールドに輝く日産レパードF31の勇姿だ。あの名車も、今作で復活を果たしているのか?
テレビシリーズ、そして劇場版を通じて印象深いのが、ラストでふたりで飛び上がる「ジャンプ」。あれがなければ「あぶデカ」じゃない!とも言うべき名物カットだが、還暦超えのタカとユージ……大丈夫!?
■「あぶデカ」芸人・セクシー川田が激白──ファンを代表して俺に言わせろ!
「『あぶデカ』を見てきたなら、タカ&ユージにサヨナラを言わないでどうする?」
あの「あぶない刑事」が、劇場版第7作「さらば あぶない刑事」をもってついに完結する。その壮大なフィナーレを前に、ぜひとも話を聞いておきたい人物がいた。小学生のときにテレビ画面越しにタカとユージにハートを撃ち抜かれ、ついにはユージ役・柴田恭兵の物まねを持ちネタとする“あぶデカ芸人”にまでなってしまった男・セクシー川田だ。人生を「あぶデカ」と共に送ってきた男は、本作をどのように鑑賞し、今何を感じているのか。ファンを代表して、その熱くたぎる思いを存分に語ってもらった。
取材当日、全身黒で決めた“ユージ・スタイル”で編集部の前に現れた川田は、ショルダーホルスターからユージの初期の愛用拳銃「コルト・ローマンMkIII」のレプリカを取り出し、「初代のものが1番しっくりくるんです」と早速“拳銃トーク”を始める。その様子から見てもコア・ファンの雰囲気が漂うが、そもそも川田にとって、シリーズの魅力とはずばり何なのか?
「理屈抜きで、空気感そのものが格好いいんです。小学校低学年のときに(テレビドラマ版の)再放送を初めて見て『こういう大人になりたい』と感化された。キザなセリフ、いかしたジョーク、スタイリッシュなアクション。こんな刑事ドラマは『あぶデカ』だけなんです」。
「あぶデカ」にすっかり魅了された川田少年は「絶対にユージのようになる」と決意。「ユージがタカ(舘ひろし)を助けに来るときのかけあいで『遅いじゃないかユージ』『あんまり早いと、ありがたみがねえだろ?』というやり取りが格好よくて、学生時代に遅刻したときにそのセリフを先生に言ったらこっぴどく怒られた(笑)」と理解者には恵まれなかったものの、初志貫徹。芸人となった今でも情熱は今なお増し、普段からユージの歩行スタイルを実践していると言う。ちなみに、本作の製作を知ったときには「町を闊歩(かっぽ)するときも、いつもより3割増しでユージっぽくなっちゃった」と照れ笑いを浮かべる。
川田の発言からは「あぶデカ」へのあふれんばかりの愛が伝わってくるが、それゆえに本作で“完結”という事実は受け入れがたいものではなかったのか。だが川田は「100点満点の最終回でした」と迷いなく言い切った。「定年退職という設定は、ファンなら1度は考えたことがあるもの。それをまさか公式で映像化してくれるとは。見たかった最終回でしたし、すばらしかったです」。
それだけでなく、「色あせない完璧な様式美」とするシリーズの“変わらなさ”にも胸を打たれたという。「(TVシリーズが放送開始した)30年前となんら変わっておらず、ただただ格好いい。銃撃戦の前にユージがサングラスをかけなおす姿を見ていると『やっぱり、あぶデカだ』ってしびれるんですよね。また、僕の中でのユージの名言『一気に行こうぜ、一気に』が聞けたのもうれしかった。公開を心待ちにしている皆さんには『タカとユージは30年前と何も変わってないよ。安心して見に来てください』と言いたいですね」。
長年のファンだけでなく「シリーズにふれてこなかった方々にも見てほしい。これだけすばらしい内容ですから、何かしら感化はされると思うんです。むしろ、初体験できる人がうらやましい」と語った川田は、あこがれのタカとユージに向けて「30年間、ハマ(横浜)を守っていただきありがとうございました。ぜひいつでも戻ってきてください」と送辞を述べる。と同時に「また何年後かに『おかえり あぶない刑事』で2人が帰ってくるのを期待しちゃう」と2人のカムバックに胸を膨らませる。この男、まだまだサヨナラするつもりはなさそうだ。