「「ボンクラ野郎」「ゾンビコメディ」「印度映画」、全てが巧く混在する作品。」インド・オブ・ザ・デッド Opportunity Costさんの映画レビュー(感想・評価)
「ボンクラ野郎」「ゾンビコメディ」「印度映画」、全てが巧く混在する作品。
ボンクラ野郎共要素。
ゾンビコメディ要素。
そして印度映画要素。
全てがカレーの如く巧く混ざり合い。
印度発の本格ゾンビコメディ作品に。
…底抜けに明るく楽しい馬鹿映画でした。
話の主軸となるボンクラ野郎三人組。
中でも軽薄なラヴとハルディクの馬鹿コンビが最高。
徹頭徹尾、馬鹿を貫き通す。
序盤のゴアへ赴く理由も馬鹿で最高。
緊急事態に陥った後も馬鹿で最高。
ただ見放したくなる馬鹿では無く血が通った愛すべき馬鹿。
時折見せる信心深さや友人想いの行動は思わずグッときます。
また空気が読めない真面目人間、彼等の親友であるバニーも良く。
ラヴとハルディクとバニー、彼等の組合せは同じく印度映画「きっと、うまくいく」を想起させるベタで巧い組み合わせになっていました。
またゾンビコメディ要素も秀逸。
近年のゾンビコメディの名作「ショーン・オブ・ザ・デッド」「ゾンビランド」への敬意が伺える要素が満載。
特に中盤以降の主要登場人物となるボリスは「ゾンビランド」のタラハシーそのもの。
一番有名な俳優が演じる点も共通しており一挙動一投足に既視感……敬意の足跡が。
メインであるゾンビの設定も良く。
ゾンビの定番設定を踏襲しつつ、気が付けば或るゾンビがダッシュしている不徹底さ。
その力技加減も含めてゾンビコメディの王道を征く作りになっていると思います。
そして印度映画要素。
染み付いた印度映画の印象を逆手に取る作り。
印度映画×ゾンビで想起される先入観は冒頭で雑に事務的に処理しつつ。
随所に差し込まれる印度要素はゾンビコメディ映画に新たな風を吹き込んでいました。
特に「火葬風習がある印度でゾンビ!?」という疑問を「グローバリゼーション」の一言で片付ける力技には感服。
完全に油断した所で従来の印度映画要素を敢えて入れてくる、その不敵さにも脱帽しました。
「ボンクラ野郎」「ゾンビコメディ」「印度映画」、全てが巧く混在する本作。
個人的には名作「ショーン・オブ・ザ・デッド」「ゾンビランド」に並ぶゾンビコメディの名作かと。
その馬鹿馬鹿しさを見知らぬ他人と共有し、共に笑い、共にアガる機会は映画館のみ。
東京では“分っている映画館”ヒューマントラストシネマ渋谷。
同士と共に、この馬鹿馬鹿しく底抜けに明るく楽しい映画を楽しんでいただきたい。
オススメです。