劇場公開日 2015年9月11日

  • 予告編を見る

「登場人物全員が魅力に乏しい」ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5 登場人物全員が魅力に乏しい

2025年12月22日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 肝心の人間ドラマがつまらない映画。なぜかというと、登場人物が魅力的に描けていないから。主人公も、主人公の父親も、教師も、学友も、全員魅力に乏しい。

 まず、主人公のキャラクターが中途半端だ。学校の自販機を壊したり、窓ガラスを割ったり素行が悪いが、その行動が唐突で動機がよく分からない。家庭に問題があるっていう背景はあるけれど、それだけじゃ説明になっていない。その割に授業は真面目に出ていたりして、とにかく中途半端なキャラクターになっている。ただ不良が更生して大成するような話にするためだけにこの設定を入れたようにしか見えない。

 ダスティン・ホフマン演じる教師も重要な役どころなのに存在感が無い。彼との関わりによって主人公が変わっていくような、主人公関連のエピソードが薄い。これだとあえてダスティン・ホフマンをキャスティングしている意味が薄れていて、誰でもよかった役に見える。

 父親も学友も魅力に乏しい。父親はなぜか終盤になってから急に良い父親ヅラしだすから白ける。学友も主人公と仲が良いのか悪いのかよく分からないような行動ばかり取って存在感が無い。主人公の楽譜を盗んで困らせる学友も、その行動に至るまでの背景がほとんど描かれていないために、ただ主人公と敵対する存在を出したかったようにしか見えない。

 とにかく全員魅力に乏しくて、面白い映画だとは思わなかった。

 本筋とは関係無い話になるけど、子供のうちから何かに一生懸命頑張るのは良いことだと思う。頑張るなんて面倒臭いと感じることも多いだろう。でも、後で振り返ってみれば充実した時間になるはずだ。そしてその経験は、大人になってからも何かしらの場面で役に立つ。ダラダラ学校生活を送るのはもったいない。そう考えると、寄宿学校の生活も悪く無いかもな。

根岸 圭一
PR U-NEXTで本編を観る