「【”良い日旅立ち。そして、母を訪ねて三千里。”今作は、口の悪い不愛想な大島優子さんも良いが、大倉孝二さんの駄目おじさん振りも絶妙な、不思議な可笑しみが漂うロードムービーである。】」ロマンス NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”良い日旅立ち。そして、母を訪ねて三千里。”今作は、口の悪い不愛想な大島優子さんも良いが、大倉孝二さんの駄目おじさん振りも絶妙な、不思議な可笑しみが漂うロードムービーである。】
ー タナダユキ監督作品は好きである。どこかユーモラスで温かな人間描写が好きである。オリジナル脚本に拘っている所も、好きである。
全作品を鑑賞しているかと思っていたら、今作品が未視聴であった。で、観賞した。-
■新宿~箱根を往復する特急ロマンスカーで社内販売係として働くハチコ(大島優子)。
ある日、彼女はある中年の男性客桜庭(大倉孝二)に車内販売車からモノを万引きされ、揉めてしまう。
更に男に、失踪した母親から届いた手紙を読まれてしまう。
ハチコの母が自殺を考えていると危惧した桜庭は、彼女に母親を探すよう促し、二人でレンタカーで箱根周りをする事になる。
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・優秀な販売係だが、母との確執があるためか、常に不愛想なハチコを演じる大島優子さんと、普段は悪役が多い気がする多額の借金を抱えた映画プロデューサー、桜庭を演じる大倉孝二さんの、会話が面白い。
ー ハチコは桜庭を”オッサン”と呼び、桜庭はどこか剽軽な風合を醸し出しつつそれに応える。何気ない会話をしながら、凹凸コンビのオカシナ旅は続くのである。-
■今作は、普段は悪役(時代劇だったら、切られちゃう人。現代劇だったら、撃たれちゃう人。)が多い気がする大倉孝二さんの、どこか憎めないコメディ要素を漂わせた演技がナカナカである。
流石、邦画の名脇役である。
演技の幅が広い。
・桜庭とハチコが、何だかんだ言いながら箱根旅行みたいな感じで、旅をする姿。そして、道に迷ってラブホテルに仕方なく泊まるシーン。
桜庭は、距離が少しだけ縮まったハチコを思わず抱きしめてしまうが、グッと堪えて”ゴメン。疲れているみたいだ・・。”と言って一線を越えない。
そして、寝たふりをしているハチコの額に”キスだけね‥。”と言って唇を少しだけ触れるのである。
ハチコもそれに気づきつつ、毒舌を浴びせる事無く、静に微笑むのである。
<結局、母親は見つからないのだが、二人は夫々の日常に戻って行くのである。
そして、ハチコは何故か爽やかな顔で社内販売係に戻り、桜庭はやや浮かない顔で、借金塗れの日常に戻るのである。
今作は、大きな出来事もない物語であるが、素敵なロードムービーであると思います。
ロードムービーって、こういうモノじゃないかなあ。>
■今を時めく窪田正孝さんが、冒頭駄目男として一瞬登場します。