「デ・ニーロ、ハサウェイ、ありがとう。」マイ・インターン ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)
デ・ニーロ、ハサウェイ、ありがとう。
所謂、こう、なんだろう。キラキラ女子の「仕事に!恋に!毎日をキラキラ輝かせる私のサクセスストーリー!」的な映画を予想していると、見事に裏切られます(予想してなかったら流してください)。
というのも、サクセス部分は省かれてて、そのキラキラ女子はもう既に大成してるんですね。「大成してるとこへ、さて現状維持をどうしましょうかね?」という時点から物語がスタートするので。まあ、ロバート・デ・ニーロ御大がアン・ハサウェイ直属のインターンだよ、て設定からしてキラキラ女子偉いんじゃん!て話ですものね。
福祉事業?ていうんですかね。シニア世代をインターンとして迎え入れる制度を設けたジュールス(アン・ハサウェイ)の会社。彼女はそれをよく分かっていなくて、制度を承諾した記憶もあやふや。そこへ突然やってきたベンお爺ちゃん(ロバート・デ・ニーロ)が自分直属のインターンになるってんだから、ジュールスも「はあ?」となり。
最初はベンを疎み、目ざといと気持ち悪がり、なるべく遠ざけていたのだけども、彼の眼差し、助言、所作ふるまいから少しづつ心がほどけていくジュールス。その過程というのかな、ナチュラルでね、不自然さがなく、急がなく、二人が打ちとけあっていく描写がとても心地よくて。
いやあもうね、兎に角、デ・ニーロが本当に素敵でね。お茶目で。「こんな穏やかなデ・ニーロ初めてじゃね?」てくらいに穏やかで。これじゃあツンケンな女社長だって心を許しちゃうよね、ていう。もう物語の中盤辺りじゃジュールスの方がベンを探しちゃう、頼っちゃう、ていう立場逆転?な感じも微笑ましくて。
終始、こんな二人の関係性で話は進んでいくんです。歳の差40でお互いをリスペクトし合う姿勢。普通ならちょいと有り得ない不思議な友情。顔はにやけ、気持ちはほっこりしっぱなし。笑いっぱなし。終盤にはホロリとさせてもくれるし。
ラストのあの締め方もなんか「二人らしいや」て感じで。
「仕事に!恋に!毎日をキラキラ輝かせる私のサクセスストーリー!」的な映画をね、良い意味で裏切ってくれました。良い意味で。デ・ニーロ、ハサウェイ、ありがとう。