劇場公開日 2016年1月30日

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「巾を広げた怪演」ブラック・スキャンダル 白波さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0巾を広げた怪演

2020年7月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

2016年2月鑑賞
実は監督としてのスコット・クーパーは初めてなんです。
ただ「クレイジーハート」が評判良かったような記憶があったので、そういった面でもちょっと楽しみでした。
まずその豪華なキャストもそうですが、何よりデップのビジュアルでしょう。
テリーギリアムの「ラスベガス」以来でしょうか?ハゲています。
今回も抜いたのかなぁ、怖いなぁ…とか余計な心配をしてしまいます。
本作はビン・ラディンに次ぐ重要指名手配犯とされた、実在のギャングの半生を描いたクライムムービー。
キービジュアルにあるように3人の思惑が絡み合って物語は進みます。
とにかくデップが凄い。冷徹なギャングを見事に演じ切っています。
今迄と明らかに空気の違うその様は怪演と言っていいでしょう。
作品はドキュメントを意識しているのか結構淡々とした作りなのですが、これが逆に良い緊張感が出ていました。デップの怖さが引き立つんですね。
ただ演出面、特に音楽の入れ方がベタすぎて、次の展開が見えてしまうのは残念でした。
またドキュメント寄りにした為か物語は平坦なんですね。
でもエンターテイメントに寄せないその作りは、とても丁寧で好感がもてます。
同じデップ主演のクライムムービー(こちらも実話ベース)、テッドデミの「ブロウ」とは逆ですね。
でもこれも良い作品ですので、その演技を比べながら観るのも面白いと思います。
そんな本作の魅力はなんといってもデップの密な演技でしょう。
後半は特にデップ中心に話が進むので、ファンには特に見所が多いと思います。
彼の役者の巾を広げた怪演だけでも、実に観る価値があると思いますよ。

白波