「ストーリーも「過激」」X-ミッション SP_Hitoshiさんの映画レビュー(感想・評価)
ストーリーも「過激」
観る前は、単にエクストリームスポーツを駆使して犯罪を行なう、ミッションインポッシブル的な話なのかなー、と思ってたけど、そんなちんけなストーリーじゃなくて、奥が深くて面白かった。
信念に殉じた人間どうしのぶつかり合い、生き様に迫力を感じる。
構成は「セブン」に似ている。七つの大罪が、八つの修錬に置き換わっているんだけど、犯人の動機が謎なところ、確信犯であるところ、次の犯人の行動を予測する流れなどが似ている。
響いたセリフ
「他人に左右される生き方をするな」
これは、特に日本人にとっては痛い言葉だと思う。どうしても、周りの空気を読みすぎてしまうところがあるから。
この映画のテーマはたくさんあるけど、
「自分の命は自分しか責任を持てない」
「自分の選択は自分しか責任を持てない」
その覚悟をもって生きてんのか、ってことが一つをあると思う。
どうしてもどこかで、自分の選択を人にゆだねてしまっているところがある。でも、エクストリームスポーツをやってる人って、そういう覚悟が半端なくて、だからこそ本物の人生を歩めてるんじゃないかって気がする。
原題の「ポイントブレイク」はダブルミーニングじゃないかな。一つはもちろん、エクストリームスポーツでは、自然に乗れなくなるポイントのことだけど、裏の意味として、地球上での人間活動そのものが、このままだとポイントブレイクを迎えてしまう、ということなんじゃないか。
犯人の描き方には、今までの映画にはない怖さを感じた。理由はどうあれ、無関係な一般人を殺すような人物は、これまでの映画では極悪人として描かれていた。しかし、この映画の犯人は、自分の信念を正義と信じていて、その理想のために人を殺すのに躊躇がない。そして、彼は善人として描かれている。正義の革命家って感じ。
これは、例えばイスラム国の兵士のような存在や、革命のためには過激な行動が必須だ、とする考え方を肯定するものでもある。犯人達の思想が理解できなくもないわー、と思った瞬間、あれ、これってイスラム過激派の自爆テロと同じじゃね?と気づく。
このへん、物議をかもしそう。