「うん、『キックアス』監督の映画」キングスマン とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)
うん、『キックアス』監督の映画
トム様とは別方向で、観客を楽しませようと技巧を尽くした、ある意味では完成度の高い映画。
だけど、人の死を楽しんで観ていられないよ、私は。
『キックアス』にハマった方なら高評価、ダメな方なら受け付けない。
コリン・ファース氏の英国紳士然としたスパイ映画、楽しみと試写会に応募、当選、鑑賞。監督チェックするの忘れてた、あぁ~。
相変わらず、少年心をくすぐりまくる。
欲しいよ、あの傘、あの眼鏡。他にもたくさんたくさん。
スーツも仕立ててみようかな。
JBはかわいいし。
そしてなによりキレッキレのアクション。スローモーションを組み合わせた緩急。決めポーズ。見せ方がうまい。また、ジャッキーさんのご指導を受けたのかな?
「manners maketh man」等、座右の銘にしたい言葉が満載。
俳優陣は、個人的にはマーク・ストロング氏が良かったですね。ツンデレおじ様版?教官としていじめ役風なのに、見守っていてくれているし、頼りになります。
そして、シレっとした、どこか間抜けな、時にスカッとするユーモア。べたつかない。
他の作品なら”化石”と揶揄されそうな”英国紳士のおじさま”が”手本”になっているところも、まるで古き良き児童文学を観ているみたい。
なんだけど、残酷さも相変わらず。しかも超ポップ!!!超スタイリッシュ!!!その色彩・デザイン(映像)の綺麗なこと。バックミュージックも意表をつく使われ方で、ポップ感・スタイリッシュ感を盛り上げる。
さりげなく予告にも使われている頭爆発。
教会で、ビーチで、スタジアムで、その他各所での殺し合い。
スケール感倍増。
その様子がまるでお祭りのように表現されている。
理性・人間性を閉じちゃえば楽しめるんだけどね。う~ん…。
それでも、『キックアス』よりまだ救われるのは、
私怨での殺戮ではなく、悪役VSヒーローの枠組みが(一応)あること。
小さきものを守ろうとする主人公であること。
ま、「世界最強のスパイ機関」と言いながら、イーサン・ハントと違い、ガラハットはミスが多い。物語の進行上仕方が無いのか、脚本家と監督の趣味か(笑)。
物語もあまり複雑化せず、随所に出てくる設定で笑わせてくれる(「そうくるかぁ、ぷふっ」といったネタ多し)。
映画・イギリス文化からのこだわりネタも多く、マニア心をくすぐられる。
けど、死をenjoyすることを求められるとなあ、やっぱり後味悪いよ。