「こんなエンタメスパイ映画を、 みんな待ってたんだ!」キングスマン 年間100本を劇場で観るシネオさんの映画レビュー(感想・評価)
こんなエンタメスパイ映画を、 みんな待ってたんだ!
一言で言えば
ハリーポッターと
初期007とキック・アスを足して、
3で割ったカンジ(笑)
とにかくキック・アスの
マシュー・ヴォーン監督は、
一筋縄じゃいかないな。
英国諜報員の正統派スパイ映画な佇まいの、
前半に騙されたら痛い眼にあった。
中盤から何やらおかしいぞ。
と思ったら案の定、
ハチャメチャに崩壊していくんだな。
それでも、
アクションシーンの映像がグロ美しくて、
ちっともイヤじゃないのが、
この監督の真骨頂。
ハリー役の、
英国紳士なコリン・ファースは、
ハマり役だったよ。
おしゃれで不思議な魅力がある人だよね。
眼鏡もスーツも似合うし、カッコいい。
「シングルマン」も良かった。
眼鏡といえば、
この映画でかけたトムフォードの黒縁メガネが、
大ヒットしたっけな。
ストーリーがきちんとしてる。
IT成金のヴァレンタイン(サミュエル・L・ジャクソン)の
めちゃくちゃな野望を阻止するメインストーリーに、
若造をスパイに育てていくサブストーリーも、楽しい。
全編に初期007のような
王道スパイ映画のオマージュが、
たくさん詰まってる
セリフもいちいちカッコいいし。
「マナーが、紳士を、作るんだ」
うーん、いいじゃないか!
英国の舞台も、
ウィットな紳士きどりもそうだけど、
とにかくガジェットがイカしてる。
腕時計からの脱出ワイヤーに、
飛びだしナイフシューズに、
傘の銃に、スパイカー...。
もちろん基地にも、ヒミツがいっぱい。
スパイ映画はこうじゃなくっちゃね!
脇役の安定感が、
この映画の世界観を贅沢なものにしている。
超ベテランマイケル・ケインは、
余裕のシブい演技だし、
サミュエル・L・ジャクソンも、
相変わらずのヤバい役作りは完璧。
弟子役のタロン・エガートンは
なんとデビュー作なんだね。
素晴らしい演技だった。
アメリカ映画のパロディも、随所に。
ラストのおバカな仕打ちは、
まるでマーズアタックだし、
パルプフィクションやウォンテッドや、
フロム・ダスク・ティル・ドーンみたいなことを、
確信犯的にやってる。
もうニヤニヤしっぱなしだよ。
イギリスの階級社会が生んだ監督だから、
皮肉たっぷりな中に確かな品があるのかな。
そんな鬼才の続編が楽しみだ。
というか、シリーズ化を強く望む。
真面目すぎるスパイ映画が多い昨今、
こんなエンタメスパイ映画を、
みんな待ってたんだからね。