「目が悪いならこの眼鏡をかけて見てください」ルック・オブ・サイレンス きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
目が悪いならこの眼鏡をかけて見てください
「赤狩り」という宗教。
人間を殺すのはしんどい。
たとえどんな上からの命令であってもしんどい。
ましてや同じ村の顔見知りが、命乞いをし、泣き叫ぶ
その場面では。
だから
必ず戦争には【宗教】が後ろ楯として伴うのだ。
道徳や人情や恐怖に打ち克つにはどうしてもそれを超える【宗教】が必須なのだ。
だから為政者は必ず兵士たちのために、どの時代にも例外なくそれを用意する
・モハメッドも敵を殺すことは禁じていない
・共産主義者は神を拝さぬ“悪魔”なのだから征伐しなければならない
・当方は聖なる神国であり敵方“鬼畜”は殺すべし
・そこにいるのは神国に反逆する“ちゃんころ”であり、“丸太”である。人間ではない
・散華した神軍は英霊として祖国の“神”となる
・殺した人間の血を飲めば狂わずに済むのだという民間信仰
こうして
人間を殺す行為のしんどさは、為政者によって政治的に計算されて与えられた【宗教と信仰】に補償されて、民草に許され正当化され、免罪されてゆく。
【宗教】によって
流血の穢れは祓われ、水ですすがれ、清められるのだ。
日本は、75年前に海の向こうにそれ=宗教行為の残骸=を置いてきたけれど、アディは同じ村に暮らす顔見知りの家を一件一件訪ねる。
眼鏡技師のアディは村を巡る。「はっきり見えますか?」「このレンズでどうですか?」と。
戦後もユダヤ人と同居し続けるドイツ国のヴァイツゼッカー大統領の、あの演説を思い出す。
「あなたははっきりと見ているか?」
と私たちも問われている。
壮絶だ。
虐殺隊長の娘と老妻だけが「許して」と言う。しかしアディの表情は変わらない。
イヤハヤ、なんとも!
かの映画とこの映画。なんとも疲れました。かの映画館も申し訳ないですが疲れる映画館でして、少し前にかの映画館で見ましたが、一番前の真ん中で見るため、御トイレが後ろ出口地下一階で、それが馴染めず、気になって余り印象に残りませんでした。
今回、失職して浪人中ゆえ、二回目の鑑賞だと思います。
変な時間にレビューら共感申し訳ございません。
今後ともよろしくお願いします。