「繰り返される「過去は過去だ」。」ルック・オブ・サイレンス 好きこそモノのヘタレなれさんの映画レビュー(感想・評価)
繰り返される「過去は過去だ」。
繰り返される「過去は過去だ」を、諦めで眺めるしかなかった一本。
無駄な飾りが一切なく、その分日々の暮らしに迫る演出は「アクトオブキリング」以上だが。
ただ、その分絶望感も半端では無かった。
スケール、事件の深刻さは違えども。
日常にも置き換えることが出来る事柄に働く、嫌というほど目にする「自分は悪くない」という心理。
私は大嫌いなこの言葉、あなたは口にしてないか?
ただ、過去の事実の認識を確認したいだけの主人公と(そして監督と)。
心理的防御もあろうが「過去は過去だろ!俺は知らなかったんだ。うるさい。」と煙に巻き、または考える事すら拒絶する加害者やその家族。
挙句に身内や生存者まで、その魔法の言葉を放ち…
忘れないのは主人公の、憎しみを忘れない母親だけ。
父ちゃんは恍惚の人って。
監督の意図は別として。
コレ今の日本、そして世界でも未だ当たり前に大手を振るってる状況だよ。
臭い物には蓋、長い物には巻かれろ。
個人的には大嫌いな言葉だけれども。
結局、それで流さないと人生荊の道しかないのか、と改めて絶望した。
絶望を目の前にした主人公の顔と、自分の顔がダブって仕方が無かった作品。
命を絶たなくても。
悪意が無くとも。
「人は殺せる」んだよ、実際…
「自分が大好き」な動物がこの世には溢れているのだから。
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