「【今作は”Belle and Sebastian”のフロントマン、スチュアート・マードッグのエヴァーグリーンなポップソングの風合が佳きミュージカル風ガールミーツボーイの逸品である。】」ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【今作は”Belle and Sebastian”のフロントマン、スチュアート・マードッグのエヴァーグリーンなポップソングの風合が佳きミュージカル風ガールミーツボーイの逸品である。】
■スコットランド・グラスゴー。
拒食症で入院中の少女・イヴはある日、病院を抜け出して向かったライブハウスでアコースティックギターを抱えたジェームズと、その友人・キャシーに出会う。
3人は一緒に音楽を作り始め、ジェームズは密かにイヴに思いを寄せる。
◆感想<Caution!!内容に少ししか、触れてません!!>
・”Belle and Sebastian”の2nd 「if You're Feeling Sinister」(邦題は、天使のため息だったかな。)を最初に聞いた時は、驚いたモノである。
リリカルでポップな曲調。けれども、何処か影があり、当時ブリット・ポップが流行っていた英国の中では、グラスゴー出身と言う事も在ったけれど、独自の地位を築き上げて行ったバンドである。
特に、「if You're Feeling Sinister」の中の”The Fox in the Snow"は、日本でも人気が高くって、”Belle and Sebastian”が来日した際に、客席から”The Fox in the Snow!"!と言う掛け声が起こったモノだが、セット・リストが決まっていたためか、スチュアート・マードッグは演奏してくれなかったんだよねえ。
・その後、1stの「Tigermilk」(当時は、余り知られていなかったので、幻のアルバムと言われていた)、3rdの「The Boy with the Arab Strap」等をよく聞いていたモノである。
3rdのアルバムタイトルは、彼らがファンだった”The Smiths"のシングル「The Boy with The Thorn in His Side」(邦題:心に茨を持つ少年)に影響を受けたとしか思えなかったのだが、コレマタ名盤だったな。
劇中で、”The Smiths"とロゴの入ったTシャツも映されるしね。
・”Belle and Sebastian”は、最初に日本で紹介された頃は、お洒落な音楽として認識されていたが、歌詞を読むと結構、シニカルだったりするんだよね。
私が彼らに嵌ったのは、メインボーカルのスチュアート・マードッグが作る曲のレベルの高さと、彼の声とバックコーラスで参加していたイザベル・キャンベルの声が融合した時の美しさが、主な要因だったかな。
■今作の冒頭で、ニック・ドレイクやイアン・カーティス(ジョイ・ディビジョンのボーカル)の事が語られる。二人とも鬱を患っており、薬の過剰摂取や自殺で早逝してしまったが故に名を残したなんて台詞が流れるが、今作でも拒食症の少女・イヴが、薬物を大量摂取するシーンが映される。
けれども、彼女を救ったのがジェームズってところも、スチュアート・マードッグのメッセージが感じられるよね。
<今作は、スチュアート・マードッグの曲をイヴを演じたエミリー・ブラウニングが、エヴァーグリーンな声で歌う姿や、どこか懐かしい風合が佳きミュージカル風、ガールミーツボーイ作品だと思います。>