「熱くない賭け」ザ・ギャンブラー 熱い賭け 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
熱くない賭け
ギャンブルで破滅していく大学教授を描いた、ジェームズ・カーン主演の1974年の『熱い賭け』のリメイク。
オリジナルは確か未見。
この手の作品の場合、ギャンブル・シーンにハラハラし、主人公の動向にスリリングな見応えを感じるものだが、本作にはそれを感じない。
と言うのも、主人公がクズ人間。
大学教授という社会的地位のある仕事に就いていながら、ギャンブルが辞められない。他人の趣味をとやかく言う気は無いが、身体の芯までどっぷり浸かったギャンブル狂、ここまでくるともはやビョーキだ。
金は全てギャンブルへ。
借金は膨れに膨れ上がっている。
見兼ねた母親が金を貸すが、それすら使い込んでしまう。
遂にはヤバい筋から金を借り…ま、後は言わなくても分かる事。
これで性格がまともなら同情の余地あるんだけれど…、借金はギャンブルに勝って返すといった考え。
自分のギャンブル狂を改める素振りもナシ。言うまでもなく、性格もサイテー。
周囲に悪態吐きまくり。
大学教授としても、生徒を無能扱いし、かなり偉そうで挑発的で、自分の教えに酔っている。
教え子と親しくなる。ちょいと関係を持つ。
何処までクズなんだ、コイツ。呆れて逆に天晴れと言いたくなる。
そんな全く共感出来ない主人公を熱演したマーク・ウォールバーグは見事。
当初、肉体派のイメージが強いウォールバーグに、ギャンブルに溺れる大学教授なんて役は合わないんじゃないかと思っていたが、27㎏も減量し、役者魂を見た。
クズではあっても、さすがに自分の人生を変えようとする。
全てを賭けた“熱い賭け”に挑むのだが…
結局は人生の大一番もギャンブル。
どんなに反面教師的に正当化しようとも、見てるこっちから言わせて貰えば、運も作品としてもとっくに見放していた。
ギャンブル・シーンに手に汗握る熱さを感じられなかったのも致命的。
どーでもいい事を。
監督は『猿の惑星:創世記』のルパート・ワイアット。
マーク・ウォールバーグはティム・バートン版『猿の惑星』に主演したハリウッドきっての猿顔スター。
ブリー・ラーソンとジョン・グッドマンは『キングコング:髑髏島の巨神』に出演し、ジェシカ・ラングもその昔コングに愛された。
み~んな、猿繋がり!