恋人たちのレビュー・感想・評価
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オリンピックなんてどうでもいいっすよ
苦しみを抱えた3人の物語。
このクソみたいな国日本で誰にも理解されず、この映画のように苦しんでいる人は結構たくさんいると思います。
とても生きづらくて、救いがない。
しかしラストでは、3人とも彼らなりの答えが出せたようで、それが希望のように感じました。
世の中ってこんなにも厳しいのかと勉強にもなります。
3人ともとても良かったんですが、弁護士はちょっといらない気がしました。
確かに「恋人たち」ということでジェンダーの問題も取り上げる。
そこはとても良いのですが、それとは関係なしに、彼の高圧的な態度が気に入りませんでした。
物語なので、もう少し彼の苦悩に焦点を当てていると感情理解しやすいかも。
階段から突き落とされたのはあれは誰が何故やったんでしょうか?
また、少しずつ3人は関わり合っていますが、実際に妻を亡くしたアツシの担当弁護士になってしまっていたというところで、マイナスイメージになってしまったのが少し残念。
でも、まるでドキュメンタリーを撮っているかのような、役者さんたちの自然なお芝居はとても良かったです。
特にメインキャラアツシ役の篠原篤さんが個人的にはとても良かったです。
彼には幸せになって欲しいと思えるようなそんな演技でした。
脇役では有名な方もたくさん出演されていて、ビシッと決まっていました。
音楽が無くて自然音が多いのも印象的。
橋の点検の仕事もカッコ良かったです。
こういう人たちが今日も街を守ってくれている。
感謝しかありません。
小説っぽい映画でしたね3.56
映像や演技のクオリティが高かったなと思いました。
あまり有名ではないけど、それがなんか妙にリアルで、悲しくなるような、映画らしいけど少しリアルな映画だったと感じました。
あまり気持ちが晴れやかになるような感じではないです。
個人的には恋人を失った主人公が好きでした。あと議事堂を爆破しようとしてた上司とか、主人公を気にかけるOLとか、雰囲気がよい暖かな感じがすきでしたね。
田舎の女性の部分は少しウシジマくんな感じで苦手だな、これいるのかなと思ってしまいました。
所々がパーツごとにつながっている感じが伊坂っぽいなと思いました。
息苦しい世の中
友達の勧めで鑑賞。
とても良い映画でした。
橋口監督の作品はぐるりのこと以来、2本目でしたが、やっぱり好きだなー。他の作品、絶対見たほうがいいな、、、と思いました。
高校生くらいの時から10数年、生きることが苦しいと感じる時期が必ずあって、離婚を機にそれがパタッとおさまった。それ以来、一度もあの時ほど息苦しいと感じる事はない。
この映画を見ていると、世の中の不条理や、人間社会に蔓延るどっちでもいいマウンティング。見栄や利己的な考え、嘘くさい表現や薄っぺらい言葉達がたくさん映されていて、見ているうちにとても悲しくなる。
ただ、登場人物達がそれぞれの苦悩や不満を抱えながらその世の中で前に進もうとする姿を最後に見せてくれたおかげで救われた。
篠原さんの演技は初めてらしく不器用でテクニックなんてものよりも、心の中から湧き出てくる情熱のようなものを感じて、自分がそこに寄り添えた気持ちになって、ただただ、彼が涙するシーンでは胸がいっぱいになった。世の中には彼のようにどこへも持っていくことのできない悲しみを抱えて今も生活している人がたくさんいるように思えて、本当に悲しくなる。
主婦役の女性は、最初こそ全く感情移入できなかったけれど、最後に彼女の本当の嬉しそうな表情をみて、嬉しくなった。
四ノ宮さんは、出てくるたびにイライラしたけど、彼が自分の気持ちを話す時、とても寂しくなった。
彼のせいではないのにな、、、と。世の中のマイノリティーに対する、否定的な姿勢は普段からとても気に入らないので、それがあからさまに見られて、とても悲しかった。でも現実にあるんだなぁー。
最後のエンドロール、川のシーンを見ながらこの映画を見た人それぞれがどんな思いに浸るのかと思いを馳せた。川の流れのようにただただその流れに身を任せて、その中で起こることに浮いたり沈んだりを繰り返しながら人生を送る、そんな気持ちになった。
篠原さんの上司がいった、世の中には3種類のバカがいるといった言葉と、「人を殺しちゃいけないよ。殺したら君と話ができなくなる。僕はもっとあなたと話がしたい」って言葉。とても好きでした。
すごい映画でした
今更ながら見てきました。
印象深い場面は多々ありますが、アツシの上司が、説教とか有効なアドバイスとかするのではなくただ一緒に弁当を食べながら「殺しちゃだめだよ。。こうやって話できなくなるじゃない。」と語りかけるところでグッときました。
エンドロールではコンクリートに囲まれた河を進む検査船から見た映像が流れます。水面すれすれの位置から、地上の建物や空が映し出されます。この映画も、高いところから希望を説くのではなく、絶望に寄り添うような、そんな話なのかなと思います。
初めて行ったギンレイホール。
すごくいい雰囲気の映画館で良かった。平日午前中なのに客がたくさん。二本立てでもう一本はあん。センス良すぎ。引退後はこーゆーところに通いつめたい。
ずっと見たかった映画。キネ旬が好きそうな感じ。主に3人の人生模様。クソみたいな人生でも、バカでも、少しの光がある。愛がある。弁護士はちょっと救われなくてかわいそうだったかなー。そこらへんにあるような、何でもない風景や心情が、リアルだった。この題名が恋人たち というところにセンスを感じる。
生活感がリアルで重い群像劇
横浜シネマリンで2016/02/08に鑑賞。
タイトルからして恋愛物っぽいと思って観たら、それぞれ重い悩みを抱えた3人の生活感溢れる群像劇だった。
妻を通り魔に殺された男、篠塚アツシは基本的に真面目だし、妻を真剣に愛していたいい奴なんだが、相談された弁護士にとっては無茶な思い込みで無理な裁判を起こそうとする困った依頼人。篠塚アツシの職場の先輩の黒田大輔がいい人でこの映画の唯一の救いだったなあ。
弁当工場パート主婦の高橋瞳子は要領は悪いが誠実で人はいい。だが家庭に問題ありとはいえ、不倫して駆け落ちまでする寸前だったのに、その相手がシャブ中だと知るとしれっと家庭に戻る強かさも持ち合わせている。
若手弁護士でゲイの四ノ宮、彼は同棲している若い恋人をぞんざいに扱いつつ、高校の頃から好意を持ち続けている相手には迷惑をかけないように誠実に対応している。また精神状態が不安定だと依頼人にもぞんざいになったりするムラっけのある性格。3人の主人公の中では一番クズかも?w本気で好きな相手には誠実なのが唯一の救いかな?彼の生活環境も唯一、生活感ないし、他の主人公とはちょっと異質。
それぞれいいところもあるし黒い部分も持ち合わせている、そんな生々しい人間描写が良かった。
ラストもそれぞれの悩みがスカッと解決するような終わり方ではないけど、一筋の光のようなものを示して終わる。現実もそうなんだよね。やけにならずに地道に前に進むしか無い、きっとそれしか無いんだ、そう思わせてくれた。
エール
観ていて苦しくなることもありましたが、大切なことを描いている作品だと思います。
『腹いっぱい食べて、笑ってたら、人間なんとかなるよ。』このセリフと表情が頭に焼きついて離れません。
現代を生きる人へのエール。
次に橋口監督が作品をつくるときは、どんな世の中かな…
つらい気分になる
女性も男性も負の側面ばかりが描かれていて、誰も魅力的に見えなかった。
特に奥さんを通り魔に殺された人は、犯人を死ぬほど憎んで国民健康保険を滞納するほど弁護士を当てにしていて、「自分はバカだから」と弱音を吐き、自殺未遂するほど苦しんでいた。見ていてつらかったのは、彼には勉強して自分で裁判を起こす覚悟も、殺人術を見に着けたり、殺害の方法を練るなどする覚悟がないところだ。「罪は罪であり、彼には立派に更生して社会に戻って欲しいです」とほほ笑んで話して、本心は誰にも言わず、犯人が自由になったら殺せばいいのにとしか思えなかった。
服役や死刑が怖いのだろうか。自分を安全な場所において石を投げようとしている態度にイライラして、そんな人の愚痴を見るのが苦痛だった。
更に彼の身近には軽はずみに天皇を殺害しようとして、腕を失った人がいる。その人の苦悩たるやどれほどの事だろう。そんな狂人を近くに置くことで、彼の立場を相対化しているような表現はどんな意図なのだろう。彼によりそった表現なのか、突き放した表現なのか、意図がよく分からなかった。全体的に辛辣な目線での表現なので、突き放していたのかなと思った。
川をボートで移動する描写の爽快感が素晴らしかったし、彼には天才的な橋の点検能力がある。周りの人も優しかった。舞台設定が東京なのか田舎なのかよく分からなかった。
スナックのおじさんと不倫するおばさんが、野ションしたり、雑におっぱいを見せたりと、とんでもない役だった。
立ちションするデート中のカップルが、女の子がブスなんだけどニコニコしていてかわいらしく、とても楽しそうだった。この映画で唯一楽しそうな場面だった。
心の距離を映すカット
人の不幸は蜜の味などと言ったりもするが、この言葉の主はまだ他人の不幸に関心があるということになる。ここに登場する人々はその不幸を周囲の人に分ってもらうこともこともできずに、苦しみを抱えて生きている。
生きていれば辛いことや、理不尽な境遇に陥ることもある。しかし多くの場合、そうしたことが人生を崩壊させることに直接つながらないのは、周囲にその苦しみを理解する存在があるからだ。
人とは不思議なもので、同じ苦しみでも、人に理解を示されたり、苦しんいる姿を受け入れてもらえるだけでそれを乗り越えていくことがある。
そのようなものから見放されていたが、少しずつ取り戻していく男性と女性を一人ずつ。そのようなものに包まれていたつもりだったのに、突然失ってしまった男性が一人。そのようなものをはじめらから信じてはいない一組の男女が登場する。
とりわけ印象深いのは、「雅子様フィーバー」の時にTVに映った時のビデオを繰り返し観ている主婦である。そのビデオに映る若いころのその女性と雅子様、そのどちらも今は失われてしまった快活さや明るさに溢れている。その映像を夜中に虚ろな目で眺めている彼女の心の中にはどのような寂しさがあるのだろうか。何度か繰り返されるこのビデオのシーンだけでも十分にドラマチックだ。
もう一つ印象的なシーンは、妻を殺された男性が職場の女性との会話で、女性の母親が夕食に招待していることを伝えるというもの。
この瞬間に、この男性の周囲に誰もいなかった世界の半径が一気に縮まる。その距離感が、彼の飲んでいた缶コーヒーの上に、彼女が置いていったキャンデーが表していて、観ているこっちがホッとできる。冷たい孤独が温められて溶けていく様をスクリーンに切り取った素晴らしいカットだ。
人と幸せについて
脇役含め俳優陣がとても良かったです。
どれもメチャクチャはまってる。
主人公が複数いて、それぞれ生きにくさや辛さやもどかしさなどなど持っているが、主人公が複数いることで深く感情移入することなく立体的に「生きにくさ」のようなものを感じられた。
主人公がアツシだけだったら辛すぎて観るのは苦しかったかもしれない。
アツシが仏壇にむかって「一緒になってもいいって言ってくれた時に生まれてきてよかったなって」
とつぶやくところに涙があふれた。
人と心で繋がる幸せをとても大切に感じた。
詐欺師に騙された瞳子が呆然としながら結婚の馴れ初めを語る。
彼女はただただ人についていきながら生きてきたように思う。
最初はこの人はバカだなーと思ったけれど、時間がたつうちにバカだなとかはどうでもよくなってきて。
このおばさんも人と関わって幸せを求めながら生きてるんだなと。
人との幸せを考えさせられました。
もういない恋人との幸せはアツシには戻ってこないけれど、笑顔が戻るように祈ります。
ラストの空やチューリップに気分が救われました。
ウェルメイドの対極にある訴求力
妻を通り魔に殺害されたアツシと、
姑とも夫ともしっくりこない瞳子と、
親友への密かな思慕を偏見によって奪われた弁護士のお話です。
悲しみと絶望と、ほんの少しの希望が、荒々しく突きつけられる映画でした。
見易さや、行儀の良さや、受けの良い美しさから遠い映画です。だから私の生きる世界にとても近く思いました。
アツシが黒田に怒りを吐露するシーンは、やっと誰かに話せたね、ゆえゆえ!という気持ちと、アツシの怒り、悲しみが流れ込んできて涙がこぼれました。
アツシは不器用ですね。不器用な人って周りのフォローがないとこんなに生きづらいのか、と愕然としました。アツシが悪いわけではないのに、そのうまく行かなさについついアツシを叱責したくなりました。
がんばって人に伝えようと誰もいない部屋で一人語りをするアツシ、弁護士にがんばって伝えようとするアツシ。でも、本当に内容が拙くて、気持ちは慮れるけれども、つたない言葉で、弁護士に華麗にスルーされる感じがリアルでした。
あれ、台本通りなんですかね?すごいなぁ、あんなセリフかけるなんて、すごいなぁ。整った文章を書けて、物語を構成できる技量がある上であの表現でしょ?すごいなぁ。
黒田がよかったです。黒田がとても救いでした。私は誰かの黒田になりたいです。黒田のそっと寄り添ってくれる感じが、とても救いに思いました。あめちゃんをくれた女の子もよかったですけどね。
痛々しさに目を背けるシーンが多数ありました。特にパート主婦の言動に、とてもよく知っているから見たくないものを見たきがして、何度か目をそらしました。
気まずさです。
恐らく彼女に自分を見たのでしょう。
ラストに提示された瞳子の希望は、夫からの関心のようでしたが、あの交わりで本当にいいのか?と思いました。
つか、常備しなさいよコンドーム。今時自販機て…見たことないわ。もう少しコミュニケーションとしての性交渉があるならいいですが、あの夫とのそれは生きてる穴扱いじゃないですか。夫がしたいときに跨るだけって…
瞳子が訪ねてきた光石研に絵を見られて、見ないでーきゃーみたいなことしてるのが腹たちました。オバハンの出す声ちゃいまっせと思いましてね。
もっと生きやすくなる方法あったやろうし、なんであんな夫と結婚してられるねんとか、鶏をしめたとこがどうおもろいねん、鍋でその肉つつきながらしめた話するなよなどなど、瞳子にはイライラしました。
夫からの平手打ちはかわいそうでしたが、なぜ別れないでいられるんだろう。
弁護士はあまりいい人間ではないです。すくなくとも私は苦手なタイプです。アツシを見下した態度や、恋人を人前で愚妻扱いするところなど、尊大で男尊女卑的な嫌いな人の典型です。
笑顔がまた胡散臭く(小沢健二をすこし今風にしたような…)嫌でした。あの笑顔は仮面とわかっていても、むかっとします。
彼の被った理不尽は、ずっと思慕していた友人を、その妻の偏見から失ったことです。明らかなる偏見からの差別で、お気の毒なのですが、君はちょっと自分の行いを改めた方がいいよ?と思いました(子供の耳たぶを触った件ではなくね)。
足の怪我も明らかに突き落とされてましたからねぇ、恨まれてるんでしょうね。
脇役が実力派揃いでした。
偏屈姑役の木野花(歩き方がすごく年寄りっぽくてメガネ会計ばばぁの面影なし←褒めてます)、
ヤバイ人役の光石研(注射打つシーンのマトモからの逸脱感はすごかった…)、
ヤバイ人②役のリリーフランキー(人の話を聞かずに煙に巻く話術がうさんくさかった←褒めてます)、
美人水って何よ?な、安藤玉恵(皇室詐欺うけたw)と、
なかなか揃ってます。皆さん見るものの心をガリッと引っ掻いてくれました。
あ、忘れてた、山中崇もだ。この人も尊大でしたねぇ。行政、公務員というやつのいやーなイメージそのものですわ、あの態度。
で、名の知れてない人も、いい爪痕を残していました。
アツシの後輩のうるせーばか男子と、
部落(って言ったよね?)出身を隠して結婚した旦那と別れたいという女子アナ(ムカついた←褒めてます)が、
インパクトありました。
女子アナの人は、見たことある顔だけど名前がわからん人でした。
他にも言いたいことは一杯あるんですが、すごく長くなりそうなのでこの辺で…
今年一番多くの人に観てもらいたい作品。
『ぐるり』からもう7年か…と、思い観ました。橋口監督の「映画力」が全く衰えて
いないことに喜びました。心神耗弱の通り魔に殺された妻を思い続ける夫。そんな彼が
世の中の不条理に歯向いながらも生きていく人間としての成長。
この作品出てくる「黒田」という存在。私にもこんな人間がいてくれたらと何度思った
ことでしょう。涙を流した、笑ってしまった(美女水を販売すればよいのに)場面が沢山ありました。
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